三番隊のお昼ご飯 2(ギンとイヅル)
梅雨のじめじめした天候が続くある日のこと。
なんだか天気もよろしくないと、体の調子も崩れがちでございます。
そんなある日の三番隊執務室。
もうそろそろ昼食の時間となったときでございます。
またもや、お昼の話題となりました。
「イヅル。丁度もう昼時や。ここらでお昼食べにいかへん?」
副隊長を誘いしはご存知、隊長の市丸ギン。
「はい。お供させていただきます。」
どんなに、難しい仕事の真っ最中でも、上司のお召しがあれば、いつ何時なりとも切り上げる副隊長の吉良イヅル。
今日も、いつぞやと同じ会話が繰り広げられているようです。
「食堂に行かれますか?」
正直、今日は忙しいので食堂で食べてもらいたいのだが、そんなことはおくびにも出さない、苦労性の吉良イヅル。
「ご飯食べる時まで、ムサい死神の顔ばっか見とないわ。外で食べよ?」
そんな副官の気持ちなど、お見通しなのにもかかわらず、気が乗らないことは絶対やらない、市丸ギン。
ああ〜〜イヅルも苦労するのう〜〜〜。(笑)
「分かりました。何を召し上がれますか?」
「饂飩。」
饂飩!!前回、「悩みは無限」(笑)を体験したイヅルにとってはちょっと古傷が痛みます。
でも、脂っこいのよりはいいですよね?イヅル?
そして、以前入った店に入るご両人さん。
中には今日も鰹節のいい香りが致します。
セルロイドで作られたメニューには色々な饂飩がならんでいます。
「何になさいますか?」
今日も、几帳面にメニューの正面を隊長のほうへ向けながら、イヅルが尋ねます。
「そやなあ・・。」
ギンは折角広げてくれているメニューにはあまり興味がないようです。
店内に貼られている、夏季限定メニューに興味を持ったようですぞ?
「ああ。ボクあれがええわ。ネバネバ饂飩。」
「・・ネバネバ饂飩ですか・・?」
ちょうどイヅルの後ろに貼られているメニューに、その文字がありました。
よくは分かりませんが、なんだかスタミナつきそうですねえ。
『そういや前回、市丸隊長はとろろ饂飩を僕に頼んでいただいてたな・・。』
「お決まりですか?」
店員のお姉さんがやって来ました。
「ああ。お姉さん。ネバネバ饂飩て何やの?」
お姉さんの説明によると、ざるうどんに山芋とオクラのとろろ、そして納豆の3つのネバネバが乗っているのいうものです。
「ほなボク、それにするわ。」
ギンは殆ど注文で悩んだことはありません。
さっさといつも決めてしまいます。
「イヅルは?」
「そうですね・・。」
対して、イヅルは悩みがち。性格ですもんね〜〜。
「・・・いやあ、今日はなんや、精のつくもん食べるから頑張れそうやなあ。
イヅル、今日はボク、エエ仕事させてもらうわ。何時もよりも更に。
期待しといてや。」
『何時もよりも更にエエ仕事?!!
エエ仕事って何のことですか?!!』
ギンの様子を伺うと・・・。
机に片肘を突き、顔を乗せたギン。
目が合うと、ニヤリと意味深に笑いました。
『何事〜〜〜?!!←だからそんなに深く考えんでも・・(笑)
こ・・これはやはりセクハラなのか?!!
いや・・!
いや、隊長に限ってそんなことをなさるはずはない!
いや、しかし〜〜〜!!』
は!!ここで悩んでいても仕方がない!店員の女性を待たせているんだ!!
早く決めねば!!
何がいい!!考えろ!!
隊長が、ネバネバ饂飩を頼んだのは、体調を崩しがちなこの時期に滋養をつけるためだ。
ならば、僕も副官として、滋養をつけるものを頼まねば!!
滋養のつくもの!!何がある?!!考えるんだ!!
は!!そうだ!!』
「すみません!お待たせして!!」
「いえ、お決まりですか?!!」
「僕には、うな丼を下さい!!!」
イヅルなんと鰻を注文!!頑張った〜〜〜〜〜!!!←胃腸弱いのに!!(笑)
『そうだ!!夏には鰻だ!!何故直ぐに思いつかなかったのだろう!!
見ろ!隊長も満足そうな顔をされている!!』
しかし、店員のお姉さんは少し困った顔をしています。
「・・あの・・・お客様・・。」
「??どうしました?」
「・・・申し訳ありません。
こちらは饂飩やでございますので・・・鰻は置いておりません。」
「・・・・・・・。」
・・・・イヅル・・・無念なり・・・・。←頑張ったのに(笑)。
今日も、イタイ思いをしたイヅルたんでございました・・・。
なんちゃって。