アニメ134話のいじり

壺府リンは、現世より戻ってくると、科学技術局の何時もの席に着いた。
誰もが面倒くさがった現世への出張だが、リンはこれ以上満足を持って帰ってきた。

席に座り、現世への邂逅にうっとりと眼を閉じるリンの姿を同僚は奇異の目で眺めている。
単なる測量で、よくもまあそんなに喜べるもんだと思っているのだろう。

確かにリンは楽しかった。
しかし、本来の業務が楽しかったのではなく、その他が楽しかったのである。

夢にまで見たケーキをまさか自分で作る事が出来ようとは、行く前は想像もしていなかった。
何度も作りなおしたケーキ。何度も作りなおしたケーキのレシピは、科学者らしく全て記録済みだ。ていうか、科学者でなくとも書いたけど(笑)。

持っていった巨大な風呂敷包みを見て、同僚が「おい。測定器ってそんなにデカかったか?」と声をかけた。

確かにこの中には測定器が入っている。でもそれだけじゃない。
この風呂敷包みには現世でのリンの幸せが詰まっているのである。

菓子好きのリンは一時たりとも、菓子を手放す事が出来ない。
故に、現世に行く時も測定器の他に風呂敷に入るだけの尺魂界の菓子を詰め込んで行った。

現世でも珍しい菓子を食いまくるつもりだったが、それはそれ、これはこれだ。

現世は素晴らしかった・・。
拠点となる浦原商店は駄菓子屋・・。・・・なんて素敵な拠点・・・。まるでリンの為にあつらえたような拠点ではないか・・。
そして、珍しい洋菓子・・・。

「いえ、測定器だけじゃないんです。」
「どうせ、現世の菓子が入ってるんだろ?俺達の土産ちゃんとあるんだろうな。
見せてみろよ、洋菓子とやらを。」
「ああ〜!それはちょっと〜!」
と勝手に包みを開けた鵯州。

測定器の他に転がり出てきたのは、期待の洋菓子ではなく・・・駄菓子だった・。
「何だ?この代わり映えしねえもんは。」
文句を言う鵯州に、リンがもじもじしている。
「・・お前・・リン、全部食いやがったな〜〜?!!」
リンのトレードマークの縛った前髪を思い切り引っ張って、怒鳴り付けた。
「す・・すいませ〜〜ん!!つい〜〜!!!」

そう、出立の前の日ちゃんとリンは土産用に洋菓子を買ったのだ。
しかし、その夜誘惑に負けて全部食ってしまったのである。
流石にヤバいと思ったリン。
尺魂界へ戻る朝、急いで浦原商店で急場しのぎの駄菓子で土産としたのである。

その後、リンは償いとばかりに、例のケーキを作ったらしい。
そして、勇んで食いついた同僚を見事愛のゴミバケツ行きに沈めたらしい。

完全分業制だった、尺魂界でのケーキ作り・・・。
持ち分の仕事は完ぺきだが、その他の仕事は見るだけだったリンに、ケーキの再現は難しかったらしい。



なんちゃって。

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