アニメ142話のいじり

破面が再度現世に現れたという報告はすぐさま総隊長の山本の耳に入った。

予想外にも早く、しかも現れた4体全てが十刃クラスの力を持った個体であると聞き、さしもの山本も「なんじゃと?!!」と声を荒げたという。

その時点で山本は先遣隊が全滅することも覚悟していた。しかしながら、これまた予想外にあっさりと破面共が引き上げて行ったことにより、唯一人の死者も出なかったことに、安堵もし、そしてまた言い知れぬ危機感を覚えた。

そして、その後井上織姫を現世に送り届けるべく随行した死神達の報告が入るや、山本が真っ先に行った事は朽木白哉と更木剣八を呼び寄せることだった。

「来たか。朽木隊長。」

白哉が一番隊に到着した時には、すでに更木剣八がいた。自分と同じく剣八も呼ばれていることは地獄蝶の知らせで知っている。
しかし、そこにはもう一人の隊長の姿がいた。
「すまんな、白哉。夜分に。」

浮竹だ。

そもそも織姫を送り届けたのは浮竹の部下だ。その報告を聞いた浮竹がそのまま山本の所へ出向いて事態を報告。
そして、そのまま山本は白哉と剣八を呼び寄せたという訳である。

まずは、4体の破面が現世に出現し、そして退却した経緯を山本が簡単に説明する。
その後、浮竹からは井上織姫が破面と共に姿を消したことの説明がなされた。

「・・なるほど。つまり、兄は今回の破面の出現は井上織姫を連れ去るための破面共が打った茶番だったという訳か・・。」
「破面・・いや、藍染が彼女の能力に目をつけたことはおそらく間違いないだろう。
実際我々も彼女の力がどういうものか、よく分かってはいないんだが。

だが、尺魂界で修業をしていた彼女を現世におびき出すためだけにやってきた事は、あっさり奴らが引いたことでも、まず間違いは無いと思う。」
「事態はより深刻じゃ。
藍染の戦いへの準備は想像以上に進んでいることがこれで明白となった。
それだけではない。
井上織姫のなんらかの能力を、戦いに利用してくるであろう。

一方我々は隊長格3名を欠き、戦力の低下していることは否めぬ。
我々は尺魂界に戦力を集中させ護りを固めねばならぬであろう。」

「で?俺たちに何させてえんだよ。もったいぶってねえで、言えよ。」
短気な剣八が単刀直入に聞いた。

「おぬしたちには、先遣隊を尺魂界に連れ戻に行ってもらいたい。」
「ハッ!ガキじゃあるめえし。俺たちが行くまでも無ぇと思うけどな。」
「その通りじゃ。
しかし、万が一ということもある。」

「・・総隊長殿は彼らが命に背き、虚圏へ行くとでも言われるのか?」
白哉が聞く。

「違うと断言できるかの?
おぬしの妹は彼ら旅禍に命を助けられておる。
そして、おぬしの副官は目的を同じくして戦いを共にした仲じゃ。

そして、十一番隊の斑目と綾瀬川は戦い好きじゃ。
結構なことではあるが、奴らには虚圏で戦って犬死するのではなく、尺魂界で戦ってもらわねばならぬ。

日番谷と松本は恐らくそのような無謀な事はせぬとは思うが、一度虚圏へ行くと言い出したら、彼らを止めることは恐らくできまい。

よいか。今は戦力を分散して居る場合ではない。一刻も早く、そして確実に戦力を集中させねばならぬのだ。
お主らは万が一、奴らが騒ぎだした時の為の保険じゃ。

・・・行ってくれるの?」

底冷えのするような眼力が未だ山本の眼には宿っている。
今更それに怖気づくような剣八でも白哉でも無いが、拒否することは出来そうも無かった。

「・・・ちっ。」更木が舌打ちする。了解した証拠だ。
「命令とあれば、従うのみ。」無表情で白哉が応じる。

『・・・あの男の事だ。
一人でも虚圏に行こうとするであろうがな。』

待機する白哉の脳裏に、一護の顔が浮かんだ。
山本の今度の決断は井上織姫を見捨てただけではない。
空座町の魂魄をも見捨てたことになる。

藍染の目的は瀞霊廷の王を殺害することだ。
その王の居城へ続く鍵の創生に空座町が犠牲となるだろう。

しかし、事態の深刻さに防衛ラインはさらに後ろに押し下げられた。

『あの女の能力がもし、先にこちら側で解っていたのなら・・敵の手に渡る前に殺害命令が下ったであろう。
・・いや・・もしくは涅に引き渡されていたやも知れぬ。』


無表情ながらも考えを巡らす白哉に、退屈したのか珍しく剣八が話しかけてきた。

「で?お前はあいつらが大人しく帰ると思うか?」
「・・・兄なら帰るのか?」

「そんなおもしれえことになってんのに、帰るかよ。どうせ、こっちに帰ってきても冬まで待ちぼうけだ。
虚圏で暴れた方が楽しいのに決まってっからな。」
「だが、それでは組織が成り立たぬ。だからこそ我々が呼ばれたのだ。」
「・・まあな。」

・・沈黙。

そして、今度は白哉の方から口を開いた。

「・・・先ほどの兄の質問に答えていなかったな。」
「ああ?」
「大人しく帰るかとの問いだ。」

もう忘れていたのか、更木がそう言えばと言う顔をした。

「虚圏に行くとごねる者がいるとすれば・・それは十一番隊の者よりもルキアと恋次であろう。」
確信しているかのような白哉の物言いだった。

「まァ、どっちでもいいけどな。どうやら出番みてえだぜ?行くか。」
「承知した。」

現世への扉が二人の前に現れた。






なんちゃって。

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