アニメ145話のいじり

「おはよう、十刃諸君。
敵襲だ。」

一同に集められた十刃たち。

・・さあ・・・ちょっとした余興の始まりだ。
淹れさせた紅茶に口をつける者は無い。
彼らにとって、食事をするという行為は、唯生きるために必要なだけの行為でしかない。
彼らにとっては食事は同類を食べることであり、それによって相手の力を取り入れ強さを得るという行為であり、生き残るための手段でもある。
同類を食べて、ただのギリアンから這い上がって来たというわけだ。

だからおよそ食事を楽しむという事がない。
大した栄養素も無い紅茶をわざわざ飲む意味は無いというわけかな?
まあ、初めて見る者も多いだろう紅茶に警戒心も抱ずに口をつけるようなら、今まで生き残れはしなかっただろうがね。


・・・だが残念だ。
愉しむという事は重要な事だ。愉しむことは、彼らの<母>である<恐怖>から僅かでも逃れられる手段でもあるのだから。


ああ・・話がずれてしまったかな。
私が十刃を一堂に集めたのはある余興を始める為だ。
敵襲。今まで虚夜宮に攻め入ったという理由で、彼らを集めた事は無い。
恐らく、少なからず彼らは緊張感を持っている筈だ。
どんな強敵なのだろう。自分たちが集められるほどの相当な強敵に違いない、とね。

そして、侵入者の人間たちを見せる。
恐らく拍子ぬけするはずだ。
敵は僅かに3名。それも人間だ。
さらには、どう見ても君たち十刃よりも強力には見えないだろう。
『こんな弱そうな奴ら』の為に、わざわざ集められたのか、と疑問に思うに違いない。

・・そう、それでいい。
ほら、早速グリムジョーが飛び出しそうになっている。
恐らく彼はある恐怖を心の内に感じている筈だ。

『確かにあの死神は手ごたえはあったが、十刃がわざわざ集められるほどじゃねえ。
それともちょっと会わねえうちに、そんなに強くなりやがってるのか?!!
藍染様が気に留めるほど!!』

・・君の言葉で言えば、こんな風になるのかな?グリムジョー・。
君の気持ちは分かるが、今君に出てもらっては困るんだ。

・・せっかくの余興が台無しになってしまうからね。
「私の為に動いてくれるのは嬉しいが、話が途中だ。席に戻ってくれないか?」

・・・困った子だ。『お座り』も忘れてしまったのかい?猫科の動物に芸を覚えさせるのは難しいが、君はまさにそれだ。
<さあ・・座りなさい。>
私の霊圧の重みでひざを付くグリムジョー。
躾はその場でやらないと効果は無いからね。思いだしたかな?『お座り』を。

さて、私は彼らに続けて言う。

「十刃諸君。見ての通り、敵は3名だ。
侮りは不要だが、騒ぎ立てる必要も無い。
各人、自宮に戻り平時と同じく行動してくれ。
傲らず、逸らず、ただ座して敵を待てばいい。

恐れるな。
たとえ何が起ころうとも、私と共に歩む限り我等の前に敵は無い。」

さあ・・余興の始まりだ。
恐らく彼らは、あまりにも普通の事を私が言ったため、再び拍子ぬけしていることだろう。
敵はたった3名。しかもとても強敵とは見えない人間。
私の指示も、平凡だ。誰もが、何処もおかしいところは無いと思う筈だ。

この程度ならば、わざわざ集められる必要は無い。
だが、私は十刃を召集した。

・・・ここに<恐怖>が生まれる。

強くも無い敵に対し、普段通りに待機せよという指示。
何故、この程度の事に私が招集させたのか。

彼らは、当然頭をめぐらせているはずだ。
そして、あの3名に十刃を招集させる意義がどこかにあると思うに違いない。


そして・・余興がいよいよ幕を開ける。


これは一種の試験でね。
どの者がどの程度、<待て>が出来るかどうかの試験なんだ。

彼らはあの3名に言い知れぬ恐怖を感じるだろう。
そして、その恐怖を打ち去るべく彼らを倒したいと思っている筈だ。
だが、私からの指示は自宮待機。恐らく彼らは葛藤する筈だ。

<待つ>ことというのは、自分の恐怖と戦う事だ。
つまり、ちゃんと<待てる者>が、今回の恐怖に打ち勝つ能力があるというわけだね。

無論、待てずに動いて侵入者と戦ってくれても構わない。
あの3名を倒してくれてもかまわない。
・・そして、逆に君たちが返り討ちにあったとしても、私は全く構わないよ?
どの道そう遠くない時に君たちは入れ替わる。それが少し早くなっただけのことだからね。


・・さあ・・余興の幕開けだ。

最初に<待て>が出来ないのは・・誰かな?




なんちゃって。

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