アニメ150話のいじり (藍染惣右介)
・・・・思考を巡らせることは楽しいことだ。
少なくとも私にとってはね。
将来の起こり得る可能性を探ることは、予期せぬ事態を予期した事態に変える手段でもある。
ウルキオラが無事、井上織姫をここへ連れて来た。
これは予想通りだ。彼は私の指示をつまらない私情を挟むことなく遂行してくれる。
それが彼の使い勝手の良さだ。
井上織姫は、仲間の命を救うために自らを犠牲にする覚悟はすでに出来ている。
これは確実だ。
恐らく、尸魂界では井上織姫が裏切り者として判断されているはずだ。
しかし・・あの旅禍の少年は・・・そうは思うまい。
どれだけ、裏切りの事実をその目の前に突き付けられたとしても、仲間を信じる。
愚かしいほどに直往邁進(注:わき目も振らず真っ直ぐに進むこと)。
・・それがあの少年・・黒崎一護というものだ。
とすればあの少年は此処へ来たがるはずだろうね。
もっとも尸魂界は手を引くだろうから、その可否は浦原喜助にかかっている。
・・さて・・浦原はどう出るかな?
あの少年の願いを聞くか・・・それとも、大人の気遣いで止めるのか・・。
私はどちらでも構わないが・・。どちらにしても大差は無いからね。
・・・さて、ただ私にとっては重要なことがあってね。
あの少年がどうなろうと、私の知ったことではない。
ただ・・井上織姫に影響を及ぼすようでは困る。
彼女には此処に居てもらわなくてはならないからね。
もう少し彼女には強い動機付けが必要かもしれないね。
彼女は幸い聡明だ。
でなければ、私の計画通り動かないはずだからね。
そして同時に、物事の全ての発端が崩玉の存在にあることを見抜いているはずだ。
無論、その崩玉を何とかしたいと思うだろう。
だから、見せてあげようじゃないか。崩玉を。
崩玉が何所にあるのかを。
そして、彼女に彼女の能力がどのようなものなのかを教えてあげよう。
彼女は思う筈だ。
自分の能力で崩玉を無に帰したいと。
そうすれば、彼女の仲間も、そして尸魂界も無理に私と戦う必要は無くなる。
・・そうすれば・・・仲間が傷つくことは無くなる、とね。
作った本人である浦原喜助が崩玉を破壊できなかったことはもう彼女は知っているはずだ。
自分だけが崩玉を無に帰すことが出来るとしたら・・・。
いや、自分しか無に帰すことが出来ないとしたら・・。
聡明な彼女ならどうするだろうね・・?
万一、あの旅禍の少年が此処へ救出にやって来て、一緒に現世に帰ろうと言ったとしたら・・。彼女は帰るかな?
彼女があの旅禍の少年に対して特別な感情を持っていることは分かっている。
その少年から、「一緒に帰ろう。」と言われて・・素直にその少年の手を取るかな・・?
・・私は別にそれでも構わない。
彼女は、目の前に仲間の命を掛けられれば、幾らでもまた此処に来ることになる。
彼女はそれを拒絶できない。・・皮肉なことにね。
だが・・崩玉がある限り、戦いは終わらないと彼女が思うのであれば・・・。
井上織姫は、あの少年の手は取らないだろう。
そして、なんとか私に隙を突いて、崩玉の存在を『拒絶』しようとするだろう。
それまでは従順に私に従うはずだ。
私に完全に身も心も捧げているという態度を示す事で私を油断させなければならないからね・・。
そうでなければ・・・崩玉に近づくことが出来ないのだから。
さあ・・どう出るかな?
旅禍の少年が現れるか・・現れないのか・・。
井上織姫が、少年の手を取るのか・・取らないのか・・・。
全ては可能性の一つでしかない。
さあ・・井上織姫。
君の聡明さを見たいものだね。
・・・偽りでいいんだよ。君の協力が得られるならね。
偽りであろうとも・・偽りで無かろうとも・・・。
君は私のためにその能力を使う。
・・・・それこそが、私の望むことなのだから・・・・。
なんちゃって。