アニメ152話(ドルドーニ)
我等、破面は藍染殿の戦う駒だ。
だが、藍染殿に近く居られるのは、僅か10体の十刃に過ぎない。
そのほかの破面たちは、恐らく藍染殿には芥同然と思われているだろう。
吾輩は十刃落ちだ。
されど、かつて十刃であったことの誇りは一度たりとも忘れたことはない。
最早、藍染殿に必要とされなくなった吾輩だが・・・志を忘れたわけではない。
志は二つある。
一つは、華々しい成果を挙げ、今一度十刃に戻ることだ。
・・そしてもう一つは・・・元十刃としてふさわしい死に場において死ぬことだ。
吾輩は戦士だ。たとえ不要とされたとはいえ、戦士としてふさわしい死に場所を探すことはそう不思議ではなかろう?
・・・ニーニョが吾輩が守護するこの場所へ来たことを神に感謝している。
ニーニョは未熟だが、素晴らしい男だった。
戦士としては未熟だが、強い心を持っていた。
何より、仲間を守るために戦うという、鉄の意志を持っていた。
何のために戦うのか。
それがわかって闘っている者は、そう多くないものだ。
誰に言われたわけでもなく、ニーニョはその答えを自分で見つけていた者だった。
ニーニョとの戦いは楽しかった。
吾輩を倒す実力を十分持っていながら、枷を自らつけ、吾輩の攻撃を受け続ける姿は恐らく他の者が見れば滑稽にしか見えぬだろう。
だが、吾輩には何故かそれだけとは思えなかった。
真っ直ぐな眼だ。
迷いのないいい眼だ。
このニーニョになら・・・吾輩の死に場所を預けることが出来るだろう。
ニーニョ、卍解し給えよ。
そして、ニーニョの全力で吾輩と戦ってくれたまえ。
その為にベベを傷つけることなど、吾輩には恥でも何でもない。
ニーニョの全力が見られぬ限り、吾輩は、そのベベを狙い続けよう。
ニーニョが卍解した姿を見せてくれた時の吾輩の喜びが解るかね?
虚化するとニーニョが宣言した時の、吾輩の胸の高鳴りが解るかね?
この時点で吾輩は死を覚悟していた。
されど、ニーニョが吾輩をどう攻撃したのか見届けて死ぬつもりだった。
・・だが・・見えなかった・・。
吾輩を倒した斬撃を見られなかった・・・。
この事こそが、無念だ。
あろうことか、ニーニョは吾輩を助けた。
あれほど、自らと・・そして仲間であるベベを傷つけた吾輩をだ。
何たる優しさだ。敵にも情けをかけるとは、まさしく聖女のようだ。
戦いとは非道になるということだ。勝つためにはそれでなけでば、前には進めない。
だが・・吾輩はニーニョに先に進んでほしかった。
やがて葬討部隊がやってくる。ニーニョはそのような輩と戦うべきではない。
行きたまえ。早く。
一刻も早く此処を離れるのだ。
後は吾輩が引き受けよう。
だから、早く行きたまえ。
・・ニーニョと戦えて本当によかった。
神に感謝している。
出来れば・・もう少し話がしたかったものだ。
ニーニョとの会話は楽しかった。
・・・アディオス、ニーニョ。
・・・BUENA SUERTE 。ニーニョの幸運を祈る。
なんちゃって。