ラーメン店「断崖」にて ある日の客7

尸魂界のとある一角・・。
修兵が店主となっているラーメン店「断崖」・・・。
こってりとした豚骨醤油味が売りのこじんまりとした店だ。


今日も修兵、恋次、一護が忙しく立ち働いている。

「ごめんよ〜〜。」
暖簾をくぐり入ってきた長身の男は、八番隊隊長、京楽春水だ。

「おや?今日はお一人ですか?」
修兵が意外そうにいう。
京楽はここに来たのは初めてではない。
親友の浮竹と2回ほど来たことがある。

しかし、食にあまりこだわりなく何でも食べる浮竹に対し、京楽はラーメンよりは蕎麦やうどんを好む為、一人で来るのは初めてだった。

「うん。みんなの顔を見たくなっちゃってね。」
「そりゃ、どうも。」
「じゃ、とりあえず、ビールと餃子をもらおうかな。」
「ビールはビンのほうで?」
「うん。ビンで。」
「へい、まいど。」

一護がビールとコップを出し、栓を抜く。
「しっかし、俺達の顔に見に来るなんて、京楽さんも物好きっすね。」
「いやあ、今日ちょっと悲しいことがあってさ・・・。」
「何んスか?悲しいことって。」
「実はさ・・・今日でボクまた一つ年をとっちゃってさ・・・。
七緒ちゃんは、何にもしてくれないし・・・・。

なんだか淋しくなっちゃってさ・・。」
しんみり話す京楽。

「オヤジのくせに年で悩んでんのか?京楽さん。

大体、死神ってスンゲエ長寿なんだろ?今更一つくらい年くったところで変わるんスか?」

「オヤジ・・?!!
ボクってオヤジなの〜〜?」
「どう見てもオヤジだろうが。」
「ひっひどいわ!!そ・・そんなのセクハラよ!!←??」

よよと泣くまねをする京楽。

「わざとらしく、オカマの真似すんじゃねえ、このオヤジ。」
あくまで一護の突っ込みは激しい。

「オイ。一護!!京楽隊長に失礼だろうが!!
この人は一応、八番隊の隊長なんだぞ!!」
恋次がたしなめる。
「一応って言ってる、おめえも同罪だろうが、恋次。」

おお!今日の一護のツッコミ絶好調!!(笑)

「すいません、京楽隊長。」
今度は修兵が謝りながら、京楽の空いたコップにビールを注ぐ。

「ああ。いいんだよ。こういうのを聞きに来た様なもんさ。
若い君たちのエネルギーを分けてもらって、一つ年を取った分、若返ろうと思ってねえ。

やっぱり来てよかったよ。」

「じゃ、俺が祝いに一曲歌いましょうか?」
恋次はこの頃、歌うのに凝っているらしい。

「止めろ、オンチめ。←注)修兵比較
京楽隊長は、歌上手いんだぞ?
お前のなんて聞かせられるか。」

「あ!ちょっと上手いからって、先輩この頃自慢してません?!!」
「当然だ。俺は上手い。」

先輩後輩の間でどうやら意見の食い違いが生じているようだ。
しばらくお待ち下さい。

「ま、ゆっくりしていきなよ、京楽さん。」
「ありがと、一護君。そうだ!君も飲もうよ〜〜〜」
「あ、オレバイト中の上に未成年だから。ダメ。」
「つれないねえ。ボクなんて未成年の時でも親の目くすねて呑んでたけどねえ。←悪い大人

君は、今年でいくつになるの?」
「後、4日で16。←永遠の16歳さ!!(笑)」


「16?!!若いねえ〜〜!!
でも君ももう直ぐだねえ。

よし!今日はボクとお祝いしよう!!

そこの歌でもめてる君たち!!もう直ぐ一護君も誕生日だそうだから、一護君にもビール・・はまずいんだっけ?じゃ、ジュースを!!

今日は呑もうよ!お祝いさ〜〜!」

「え?でも俺達まだ・・・。」
「もう、今日は店じまい!!ボクの貸切さ〜〜〜。今日はボクのおごり〜〜!」

「よっしゃ〜〜〜!」


そして・・・数刻後・・・。


呑みつぶれている京楽を迎えに来たものがいる。

「すみません。京楽隊長を引き取りに来ました。」

身元引受人の名は伊勢七緒。京楽の副官だ。

「あ、伊勢副隊長。ご苦労様です。」
「お支払いをさせてください。」
「あ。でも後で京楽隊長からもらいますからいいですけど。」
「・・いいえ。私が払います。

・・今日だけはですが。」

そう言って、支払いを済ませ、京楽を起こす。
「京楽隊長。そろそろ隊舎へお戻り下さい。」
「あ・・?七緒ちゃん・・?迎えに来てくれたの?」
「それも副官の役目ですから。」
「うれしいな〜〜。じゃ、檜佐木君、阿散井君、一護君。楽しかったよ〜〜。

またね〜〜。」

京楽を見送る3人。
京楽の足取りは少しフラフラしている。
修兵も恋次も酔ってはいるが平常だ。一護は素面である。

「あ〜〜あ。嬉しそうに帰って行ったよ。」
「なんか・・・子供みたいっスね。」

その時、七緒の後ろを歩いていた京楽の右手がゆっくりと上がり・・・ブイサインをする。
まるで、3人に見せ付けるかのように。

「・・・あのオヤジ・・・。全然酔ってねえな?」
「伊勢副隊長に迎えに来させるために、酔ったフリしてやがったのか。」
「甘えん坊のオヤジなんざ、どうしようもねえな。伊勢さんも苦労するな・・・。」


といいつつ、素直に副官に甘える京楽をちょっぴり羨ましくも思える「断崖」メンバーでありました。



・・・・胸毛のオヤジ、お誕生日、おめでとう〜〜〜!by暴れん坊




なんちゃって。

inserted by FC2 system