ラーメン店「断崖」にて ある日の客9
尸魂界のある一角・・・。
そこに一軒のラーメン店が開業している。
店舗名「断崖」。
・・・聞くからに怪しい(笑)。
店主は九番隊副隊長、檜佐木修兵。
何故か器用貧乏なスメルがする修兵だが、今のところラーメン店は順調だ(笑)。
店員を紹介しよう。
店員その一、六番隊副隊長、阿散井恋次。
先輩に誘われてこの店を手伝うことに。
店員その二、死神代行、黒崎一護。
恋次に誘われて入店。
アルバイト、三番隊副隊長、吉良イヅル。
自分でも分からんままに、店が忙しい時に手伝わされている。←(笑)
この店の従業員は、アルバイトを除いて全てノースリーブ着用が義務付けられている。。
・・・この店の天に立つ男、修兵の出した掟なのだ。
・・・そこのキミ。
今、「ちっちゃ!」とか思わなかったかね?
・・・まあいい。
今日はそれどころではないのだ。
ラーメン店「断崖」に一大危機が訪れたのである。
それは・・一人の十刃によってもたらされることとなった。
・・昼どき。
もっとも忙しい時にその男は訪れた。
「おう。邪魔するぜ。
・・て、なんだ。席開いてねえじゃねえか。
・・仕方無ぇな。おい、そこのお前。」
「へ?」
言われた客は、ラーメンをすすったところだ。振り向けない。
「退け。」
「ええ??」
「聞こえねえのか?退けって・・・」
その時、その客は自分の体が箸を持ったまま浮くのを感じた。
「・・言ってんだよ。」
その言葉とともに、店外へ放り出されることとなった。
事態に気づいた断崖メンバーがその方向に目を向けると・・・。
浅黄色の髪。浅黄色の目。
十刃No.6グリムジョー・ジャガージャックがそこにいた。
霊圧が低い者でも、一目でヤバいと分かる威圧感。
ぐるりとグリムジョーが店内の客に目を向けただけで、全ての客が悲鳴を上げて逃げ帰っていった。
残された客はグリムジョーただ一人。
すると、満足げにど真ん中の席にどかりと腰を下した。
無論、両手はポッケに入れたままなのは言うまでもない。
「てめえ・・・!何しに来やがった・・!」
一護が唯でさえ寄っている眉間のしわを余計深くして、問う。
すると、グリムジョー、ニヤリと笑ってこう言った。
「アァ?何をしに来ただ?
ラーメン食いに来たに決まってんだろうが。
それとも、地上げに来たとでも言ってほしいのか?」
・・・グリムジョーよ、それはあまり笑えない冗談だと思う。(笑)
ただでさえ、ヤンキーだし。←あ、でもヤンキーは地上げはしないか。
「てめえ・・!ふざけんのも・・」
「止せ、恋次。」
恋次も噛みつかん勢いだが、それを制したのは修兵だ。
ちなみにイヅルは運よく手伝いを免れたらしい。
「・・・ご注文は?」
毅然とした態度の修兵。
「てめえは?」
「店主の檜佐木だ。
・・で?ご注文は?」
修兵の態度に面白くなさそうに、鼻をならすグリムジョー。
卓上のメニューをチラリとみて、
「チャーシュー麺」と言い、ヤンキーらしく椅子に浅く腰かけ、そっくりかえるように座りなおした。
「盛はどうする?」
「アァ?盛?」
「うちは普通、大盛、特盛、卍解盛ってのがある。
普通でいいのか?」
「卍解盛だ?けっ、下らねえ。
死神の卍解なんざ、たかが知れてるぜ。」
そう言い置いて、グリムジョー何かを思いついたようだ。
意地の悪そうにニヤリと笑う。
「・・・決めたぜ。
盛は・・・これくらい盛りな。」
注)ここからは実況中継風にお伝えいたします。
おおっとグリムジョー、ここでおもむろに立ち上がり、自らの腹を親指で指したァ〜〜!!
指した先には見事に割れた腹筋〜〜!!!
体脂肪率は一桁なのはまず、間違いないでしょう!!
無駄な脂肪など一切排除した素晴しい肉体!!
それはまさに、筋肉の壮大な抒情詩とも言える風景が広がっている〜〜!!!
おおっと?!ここで阿散井恋次も動きがあったァ〜〜!!
肉体に自信があるのはお前だけではないとでもいうように、自らもノースリーブを脱ぎ捨てたァ〜〜!!!
こちらも見事な肉体!!
筋肉のファンファーレが聞こえてきそうであります!!
そしてその見事な筋肉を彩る刺青が、阿散井恋次という男の肉体を美しくも勇ましく彩っている〜〜!
両者睨み合っております!!
BLEACHの中で盛の頂点で立つのは自分だと、言わんばかりに睨み合っている〜〜!
まさに・・!まさに物言わぬ筋肉という芸術の、盛のNO.1・・・M-1(MORI-1)ファイトだァ〜〜!!
さあ、ここで解説の一護さんにお願いいたしましょう!!
一護さ〜〜ん?!!あれ?マイクの調子が悪いんでしょうか。
一護さ〜〜ん?!!
「・・・・店長、チャーシュー麺、グリーム状盛入りました〜。」←悔しいのでスルーに徹底。この時の発音はグリームのリの部分にアクセントを置くこと。
「・・・ヘイ。チャーシュー麺、グリーム状盛、了解〜。」←こっちも当然スルー。
・・・残念ながら実況中継は終了のようだ。
「・・おい待て。なんだそのグリーム状てのは。」
「イヤ・・WJ26号でそう書かれてたじゃねえか。
グリームジョー・ジャガージャックだっけか。」
「ありゃ、誤植だ!!誤植!!
このいじり書いてる奴だって、しょっちゅうやってんだろうが。
揚げ足取るんじゃねえよ」
ダメ!!それ言っちゃ!!(笑)
その時、修兵がグリムジョーの前にどんぶりを置いた。
「ヘイ、おまち。
チャーシュー麺グリーム状盛一丁。」
どれだけチャーシューが盛られているのか期待していたグリムジョー・ジャガージャック。
そこに信じられない光景を見ることになる。
ラーメンの上には・・たった一枚のチャーシューが寂しげに乗せられていた。←当然いやがらせ。(笑)
「ププ・・。」とたまらず一護から笑いが飛び出した。
当然キレたグリムジョー、そのラーメンに掴み虚閃を炸裂させる。
・・・ラーメン店「断崖」。
・・その日は休業となったという。
・・て言うか、店が無くなったらしい。
どうやら心無い客が暴れたようだ。
・・再開が待たれるところである。
なんちゃって。←もはやこれ以外に上手いシメ方を考えられないらしい。