原始の闇(藍染惣右介)

現世において、科学者たちの間では、宇宙創生は、ビックバンと言われる爆発から始まったと言われている。
当初はあまりにも奇抜とも思えた理論だが、どうやら、今では定説となっているようだ。


ビックバン・・・・。光満ち溢れた火の玉の宇宙。
巨大な火の玉だった宇宙は、インフレーションと呼ばれる急激な膨張により、やがて温度が下がり、現在の姿を形作ることとなると言われている。

宇宙は火の玉から始まった・・か。
正確には違う。
宇宙は、「無」から始まったのだ。

空間・時間・物質などがまったく無いという「無」の状態。

ビックバンとはその「無」の揺らぎから始まった事象に過ぎない。


今ある全ての生命は・・・「無」から始まったのだ。


「無」・・・光の無い「闇」の世界。


「闇」・・・「希望の無い、忌むべき世界」。

・・・本当に?
・・・本当に闇とは忌むべきものなのかな?


光の世界が行き詰った時・・・それを絶えず救ってきたのは闇だ。
絶望と魑魅魍魎にあふれた世界にこそ、病んだ光の世界を救うものがある。

もちろん、それと同時に更に光の世界を脅かす物も、同じだけ存在するものだ。

放射線。
生物に危険な筈の闇の産物は、現世において癌という、人類最大の病魔と闘う特効薬として使われている。

原子力。
多くの人の生命を一瞬にして奪う悪魔の兵器は、同時に人々の生活に欠かせないエネルギーという恩恵をもたらす。

アフリカ。
人類発祥とされる地は、同時に様々な新種の病魔の発生地とされる。
しかし、同時に難病の特効薬を求めて、多くの者が分け入る地域でもある。



・・・・闇。

人々が恐れる闇。


だが、その闇の中にこそ、更なる可能性がある。
更なる高みを求めるには、その闇へ身を投じる覚悟がなくてはならない。


進化を望めぬ尺魂界。
ただ朽ちていくのを待つ世界だ。


そんな病んだ光の世界に、新たな処方箋など存在しない。

危険が常に存在する、闇の世界にこそ、道はある。


更なる進化を遂げるには、闇を恐れてはならない。
何故なら、常に可能性は闇の中にあるのだから。

哺乳類が、現在の繁栄を築くきっかけになったのは、それまでの支配者だった恐竜を絶滅させたほどの破壊力を持った隕石の衝突だ。

常に絶望と隣り合わせに希望は存在する。



死神とホロウの領域を取り払う。


新たな進化を遂げるために。


・・・・・私は、敢えて闇を行こう。


答えは常に闇の中にある。
数知れない絶望の中にこそ、未来はある。


・・・・・怖いかい?

・・・おかしくは無いよ?・・・それが普通の反応だからね。


だが・・・恐れていては先には進めない。


始まりは光の世界ではない。
常に闇の世界にある。



高みを求めて・・・。



光ではなく、闇の世界を私は行く。



・・・・・目指すは、光も闇をも超えた天の玉座。


・・・・・その玉座に座すために。




・・・・・原始の闇を突き進むのだ。






なんちゃって。

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