ご利用は計画的に(ザエルアポロ・グランツ)
ザエルアポロ・グランツは虚圏一の科学者だ。
得てして、科学者というものは、軽く性格が破綻していると思われがちだが、ザエルアポロの場合は軽くではなく、甚だしく破綻しているという表現が適切かと思われる。
そのザエルアポロの真の能力「邪淫妃」は色々とえげつない能力がある。
マッチョな巨人を操り人形に使う能力とか、だけでなく敵の可愛らしい人形を作って、一つ一つ組織を破壊していくという実に陰険極まる能力。
そして自称、もっとも誇るべき能力が”受胎告知”である。
受胎告知。この能力は、敵にザエルアポロ自身を孕ませるというものである。
詳しく言うと、臍から体内に侵入し、内臓に”ザエルアポロの卵”を産みつけ、産みつけた”卵”は母体のすべてを奪って急速に成長し、母体を殺してザエルアポロが再び誕生するというものだ。
敵からするとものすごーくイヤ〜〜な技だが、ザエルアポロにしてみれば、自分がヤバくなったときに、再び出てこれるように”ママ”を確保しておく状態にしておかなくてはならないので、計画的な利用が必要だ。
要するに闘ってる間、いつでも卵を孵化させられるように準備し続けなくちゃいけないわけですな。
けどまあ、臍と内臓があれば、母体になれるわけだから、当然男でもザエルアポロの”ママ”になれる。地面とすっかりお友達になってしまった恋次や、地面とお友達の上にツッコミ役が蒲鉾の板のように定着してしまった雨竜も、”ママ”になれるわけだ。
雨竜や恋次のファンからすると、そんな事態、想像したくもないだろうけれど。
さて、お得意のお人形遊びが、キテレツな格好をした隊長には効かないことが分かったザエルアポロ。ヤバイ。流石に身の危険を感じ始めた。
目の前の奇抜な格好をした隊長の能力もまだわからない。
一気にザエルアポロが不利だ。
狡猾なザエルアポロ。無論ここで保険をかけることにした。
保険とは当然”受胎告知”だ。
万一、今の本体がやられたとしても、受胎告知でまたこんにちはと生まれ出ることが出来るからだ。
しかも、敵は一体減る。
実に計画的だ。
ザエルアポロは”ママ”の対象になりそうな候補を物色した。
阿散井恋次・・・・捕獲はしやすそうだけど、内臓やられてるんだった。ていうか、ザエルアポロが壊したんだけど。
石田雨竜・・・・・上に同じ。
ヘンテコ隊長が連れてる副官の女・・・・内臓は大丈夫だ。まだ人形遊びしてないし。
ていうか、内臓やられてたとしても、ザエルアポロは彼女に最初から決めていた。
ごく僅かの時間とはいえ、仮にも自分の”母”になるわけだ。
マッチョで頭の悪そうなのや、インテリぶった眼鏡がキャラ被って気に食わない男どもより、若くて美しい娘から生まれたいにきまってる。
誰だってそうだろう。
4人中、2名は戦力外。残り2名の内一人を受胎告知で死にいたらしめ、更にその事実で最後の一人の心理的ショックを与える。
敵に自分の勝利を確信させておきながら、一転絶対的ピンチに陥らせるという最高の舞台・・!
『主役たるべき、僕(注:ザエルアポロのことらしい)が転んでもただ起きるだけじゃ、つまらないだろう・・?』
能力の利用は計画的じゃないとね。
持てる能力は有限だ。
無限なのは・・・僕の才能くらいなものさ。
そうだろう?
なんちゃって。