挟め!タイヤキ君!(乱菊・修兵・恋次・イヅル)
・・・松本乱菊。
基本的には、「世の男は顎で使ってナンボ」が信条だが、たまには「使われる方」に優しくしてやろうかという気になる日もある。
今日は・・そんな珍しい日のようだ。実に殊勝な心がけである。(笑)
「修兵〜、恋次〜〜、吉良〜〜。
何?アンタたち、まだやってんの?」
乱菊が現れたのは、副隊長控え室。
瀞霊廷新聞の新企画のコマ割について話し合っていたのだが、3,6,9の隊のコマ割調整が長引いて、それ以外の隊の副隊長は先に解散しているという状況だった。
出番のない自分をここぞとばかりに挽回しようとする九番隊の修兵と、雑草魂ならぬ野良犬魂を今年の流行語大賞にしようと息巻く六番隊の恋次との間で激しい火花が散り、そのあおりを食うかたちで三番隊のイヅルまでが残っている状態である。
今年もイヅルは、どうやら薄倖の美青年の地位を確立しそうである。(笑)
まだ残っているというのを聞きつけて乱菊がやってきた。
「丁度いいわ。アンタたち、タイヤキ食べない?」
思いがけない優しい言葉に、驚く3人。
さもありなん・・。
なんせ・・散々普段はこき使われているのだから・・。(笑)
「食べます!!」
大好物のタイヤキの誘いに真っ先に食いつくいたのは、野良犬根性を持つと言う恋次だ。
なんせ、『野良犬たるもの、食えるときに迷わず食え。』と言うのが絶対の不文律なのである。
「あ!オレも!!」
負けじと手を上げるのは修兵。
当然だ。なんてったってあの乱菊からの差し入れだ。ここで手を上げない奴がなんで今後彼の斬魄刀の名前を神に教えてもらえるだろうか。いやもらえない。
「あ・・じゃ・・僕もよかったら。」
流石にイヅルは控えめだ。
「よしよし。」
と言う乱菊は手ぶらである。首元から胸元に掛けては暖かそうなストールのようなマフラー。
寒い日にはいいだろう。
しかし・・・タイヤキは一体何処にあるのか?
「って・・乱菊さん、タイヤキ何処にあるんスか?」
恋次が不思議になり聞いてみた。
「ふふふ・・・ここよ!!」
乱菊がマフラーを取るとそこには・・・・!!
なんと・・・胸に挟まれた、タイヤキが入っていると思われる紙の袋が・・・!!
『は・・・挟め!タイヤキくんか・・・・!!!!←?
乱菊さん・・・!!な・・なんてエッチなことを・・・!!←・・エッチ?』←誰かの心の声。
「・・・・。・・松本さん・・なんで挟んでるんですか・・?」
『バカ!!吉良!!てめえそんな事聞いてんじゃねえ!!
そんな事を考える暇があんなら、この状況を楽しめ!!』←誰かの心の声。
「バカねえ。(そら、言われただろうが!)
タイヤキを冷やさないようにって・・決まってるじゃない〜〜。(ぐお〜〜!その保温方法最高ーーー!!)
じゃ、ここに置いとくから。じゃあね〜〜。」
ひらひらと手を振り帰っていく乱菊だった。
・・・そして・・・。
「流石は乱菊さん・・ぶっとんでますね・・。
じゃ・・折角だから先輩食いません?」
タイヤキ入りの紙袋に手を伸ばそうとした、恋次に修兵の喝が飛ぶ!
「さわんじゃねえ!!」
「え?触らなきゃ食えねえじゃないですか。」
「その紙袋に・・触っていいのは俺だけだ!!」
言うや、紙袋を注意深く取り上げ中からタイヤキを取り、恋次とイヅルに渡す。
どうやら、タイヤキそのものよりも乱菊の乳に挟まれていた紙袋が大事なようだ。
残された自分のタイヤキを出そうとはせず、そのまま紙袋ごと、くんかくんかする修兵・・・。
「ああ・・・乱菊さんの匂いだ・・。」
・・・そのセリフ・・・なんだか原作で他のキャラが別のキャラに言っていたような・・。
「・・けっ、タイヤキの匂いしかしねえくせに。」
流石は野良犬!匂いには自信があるようです(笑)。
「松本さんはタイヤキの香りはしないと思いますけど・・。」
几帳面に相打ちするイヅル。
「ああ・・・!ありがとう・・!乱菊さん!!
オレも・・このタイのように出世しますから・・!!
オレも挟んでもらえるように出世します!!」
修兵の妄想スイッチがただいま作動!!レベル3!!
タイヤキをほお張る後輩たちはちょっと冷静だった。
「先輩、タイは出世魚ではありませんけど・・。」
「・・なんでもいいっスけど、妙な場所だけ出世させないでくださいよ?オレ見たくねえし。」
何はともあれ、ちょっぴり幸せを運んだ乱菊であった。
なんちゃって。