発明は道楽者の慰み(浦原喜助)
俗に「発明家」っていますでしょ?
アタシは思うんですが、「発明家」っていわれる方たちって、「これを作ろう。」って最初から作ってるんですかねえ。
いやね?アタシも「発明家」って言われてるんですが、別に最初からはっきりしたイメージがあって作ってるわけじゃないんですよ。
漠然としたイメージが、な〜んとなくいじっていると、こんなんで来ましたよ〜〜ん、と形になってる感じなんです。
喜助は、道楽者だ。
セコセコ働くのは嫌いだが、退屈も嫌い。
型に嵌るのは嫌いだが、問題にならないよう、そこは上手くかわしていくという神業的に要領のいい男だ。
特筆すべきは、頭の回転のよさと閃きだ。
それを形に現すことのできる喜助は、学院時代から色々なアイテムを作っていた。
護廷十三隊に取り入れられた物さえある。
かといって、真面目に学院を送ってきたかといえば、そうではない。
『サボリの浦原』学院時代の、喜助の別名だ。
しかし、成績は常に上位。
理数系にいたっては、ほとんど授業に出ないにもかかわらず、1位の座を譲ったことは無い。
どうやったら、そんなに理数系が出来るのか聞かれた喜助はこう答えた。
「どうしたって言われましてもねえ。でも分かるんスよ。
ああ、こうやったら解けるなって。問題を見れば分かるんス。
だから、暗記しないとできないのは嫌いっスねえ。」
死神の能力に優れた喜助は、隊長になるや『技術開発局』を提唱、あっさり許可される。
ほんの気まぐれで作ってきた、喜助の発明がいかに影響を与えてきたかが知れるだろう。
技術開発局初代局長となり、莫大な予算を使うことを許されるようになった喜助。
さぞかし働くのかと思えば、ぐうたらし放題だった。
昼寝をしているかと思えば、起き出してきて、暫く研究室に立てこもる。
出てきたと思えば、一見何に使うのかさえ分からないものが出来ている。
後で聞いてみれば、現世に下りた死神との通信機。
いまや色々な機能が追加され、死神の必需品となっていたりする。
死神の業務に革命をもたらしたという発明を幾つもなしえながらも、喜助も生活はほとんど変わらなかった。
ただ・・・発明そのものはどんどん過激なものに変化している。
それを知るのはほんの僅かだ。
その発明の意味すら、殆どの者は分からない。
ある意味、彼が生み出したものは、彼自身のようだった。
発明っていうのは、麻薬みたいなもんなんスよ。
次から次へとドンドン作りたくなるもんなんス。
でも止められないんですねえ。
止めると退屈で死にそうになるんス。
いつかアタシは、アタシ自身が作った物で、自分の首を絞めることになるでしょうねえ。
でもそれでも仕方無いッスけどねん?
なんせ、自分で撒いた種っすから。
キッチリ責任取りましょ。
発明はアタシの慰みみたいなもんです。
どうせなら・・・
ハデに行きたいもんですねえ〜。
なんちゃって。