アニメ170,171話のいじり (瑠璃千代)

「姫様、現世へ参りましょう。」

ある日のことじゃ。
それまで屋敷から出るにも、五月蠅かった犬龍が申したのじゃ。

「現世・・というとあの現世か?!」
屋敷の中で退屈しきっておった、妾はたいそう驚いた。
「さようでございます。」
「それはよいのう!!・・されど、何ゆえまた現世に行くのじゃ?」

現世・・!貴族の身で現世に行ける事など、そうはないぞ?
尸魂界の中を行き来するにも、何かと五月蠅いのじゃ。貴族と言うのはのう。

「・・そ、それは・・。」
「物見遊山か?!!」わくわくして聞いたものじゃ。
「さ、さようでございます!
現世では色々と珍しいものがございまして・・。」

「行くぞ!!必ず行く!!
楽しみじゃのう!!で、いつ行くのじゃ?」

1週間後か、2週間後か。
貴族の旅となると、色々と準備が必要じゃ。仕方のないことじゃが、妾は早い方が良い。
すると、犬龍、思いもよらぬ時を告げよった。
「本日の夜にでも、出立しようかと思っております。」
「なんと!それはまた急じゃのう。まあよい。良きにはからえ。」


ただの物見遊山とは恐らくウソじゃ。

犬龍はウソを付くのが下手な男じゃ。
ウソを付く時、犬龍は妾とは目を合わせぬのじゃ。
・・・今のようにの?

そして今妾に何かを隠しておる。
これはいつものことじゃ。
何時も犬龍は妾に本当の事を言わぬ。

犬龍、猿龍が妾の事を大事に思ってくれている事は知っておる。
いつも一生懸命なのも解っておる。

じゃが・・それと妾に何も言わぬのとは違うのではないかの?
妾は本当の事を告げるにはまだ幼いとでも言うのかの?

父様母様が亡くなった頃ならいざしらず、妾はもう真実が何たるかをしる年になっておるのじゃ。

それを犬龍、猿龍め・・。
いつまでも子供扱いしおってからに。

・・現世は見るものすべてが珍しいものばかりじゃった。

隣人の黒崎一護なるものは、平民らしいが、妾に礼を尽くすことのない変わった男じゃった。
だが、善き男じゃ。
善き男の目をしておる。

犬龍、猿龍の供はあるが今までよりも格段に外を自由に歩けるようになった。
尸魂界では何でも知っていると思っていた犬龍も、現世の事になると知らぬ事が多い様じゃ。
何やら懐から、現世辞典なるものを引っ張り出して、よく確認しておる。

お主でも現世の事は知らぬことばかりなのじゃのう。
せっかく現世に来たというに、犬龍猿龍は何かを警戒したままじゃ。
警戒する気は妾にも伝わってくる。

緊張感の中の奇妙な自由。

何かが起こりそうな予感がするのじゃ。
それは何かは解らぬのじゃが、恐らく妾に関係しておる。

それを知りたいと思うのは、おかしいことかの?

もどかしさだけは募っていく。
犬龍は、妾に伝える気は無いようじゃ。


・・・この頑固者め。




なんちゃって。

 

 

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