アニメ172話のいじり (貴船理)

『・・・見ていてイライラする人だ。』

それが吉良イヅルへの僕の印象だった。

三番隊副隊長、吉良イヅル。
僕が三席として着任することが決まったとき、直ぐに副隊長がどんな人物なのか調べていた。

真央霊術院を首席で卒業後、席官として死神になり、その後も速いスピードで副隊長となっている。
いわゆるエリート街道を進んで来ている人だ。
大きな功績を上げるタイプではないが、着実でミスのない仕事で評価を上げるタイプだった。
精神的な弱さを指摘する意見はあったものの、これまで大きなミスを犯したことも無い。

彼が唯一最大のミスを上げるならば・・。
<隊長の裏切りを見抜けなかった。>
その一語に尽きるだろう。

だが、上層部の彼への評価は低くは無い。
無能な人は嫌いだが、その点では吉良という人物は当てはまらなさそうだ。
そう思って三番隊に着任となった。

いきなり名も知らなかった隊長と、三席が着任するのだから、ある程度の隊員達の動揺は予想していた。
だが、一番動揺していたのは、ほかならぬ副隊長の吉良イヅルだ。
整ってはいるものの、神経質な性質が顔に出てしまっている。
流石に挨拶の時に目を逸らすようなことはしないが、それが終わるとそそくさと視線を外していった。


・・・何をそんなに怯えてるんだ?

たよりないという隊員達の意見もあるようだが、一応無難に隊長不在であれ隊をまとめあげている。
怯えることなど別にないはずだ。
僕に副隊長の座を奪われるとでも思っているのだろうか。

莫迦らしい。
その気なら隊長はとっくにそうしてる。
そうしないのは、今までの副隊長としての仕事を、天貝隊長が評価しているからだ。
何故それが解らないんだ?

顔に出ているじゃないか。
『天貝隊長とうまくソリが合わなかったらどうしよう』
『三席に副官の座を奪われたらどうしよう』

不安、怯え。
副隊長と言う肩書があるからこそ、なんとか立っていられるといった風情だ。

まるで何か頼るものがなければ、立っていられない朝顔のようだ。

・・そうか。それを利用されたか。市丸に。
生来の依存気質を上手く利用されて、裏切りも見抜けなかったわけだ。
頼る支柱をいきなり失って、残るは副隊長の肩書だけということか?


・・・イライラする。

こういう実力のある癖に、自分の事を過小評価する奴は。
充分な能力がありながら、正当に自分のことだけは評価できない卑屈さが。


『・・苛められたいんですか?吉良副隊長。』


・・困りますね。


僕・・実はSなんですよ。

もう少し隠しておきたいんですけどね。







なんちゃって。
 

 

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