アニメ178〜180のいじり(雲井堯覚)

・・・男とは表の顔と裏の顔を持つもの。

わしもただその一人にすぎぬ。

男として生を受けた以上、誰しも夢見るものがある。
世界の覇者となること。
上級貴族の霞大路家として長きにわたり家老を務めてきたこのわしも、その一人じゃ。

霞大路家の下に根を張り、決して誰にも悟られぬ裏の顔を持ってきた。
期が熟する時まで、備えを怠ってはならぬ。
親に死に別れた哀れな瑠璃千代が一人残った時点で、何時かわしの機が来る事を確信した。
凡庸で素直な許婚となる子供を見つくろい、霞大路家にて囲い込んだも、その備えの一つ。
そして、瑠璃千代に霞大路家本来の責務である王族の武具の鋳造を教えぬのもその一つ。

瑠璃千代は霞大路家の真の姿を知ること無く、あの凡庸なる子どもと婚儀を執り行い、子をなすこと無く死ぬ運命だからだ。
そこで霞大路の血は絶える。それでよい。名だけ残ればよいのじゃ。
あの少年はわしに霞大路の家督を譲り渡すための繋ぎ。
恋しい瑠璃千代の後を直ぐに追わせてやることにしよう。

そしてこの儂が霞大路の当主となる。
それだけではないぞ。儂の狙いは瀞霊廷の王となること。
霞大路家に伝わる刀を携えし家来どもを連れ、いずれは瀞霊廷の王となる。

・・じゃが、忌わしきは護廷十三隊の存在じゃ。
事を構えるとなると必ず奴等が出てくるのは確実。

奴らを抑えねばならぬ。
さて、どうしたものかと思っていた矢先に思わぬ吉報が届いたのじゃ。
三・五・九番隊の隊長の造反。
浮足立つ護廷十三隊の様子がこちらにまで伝わってきた。

首謀者の藍染惣右介は、人望厚い隊長として皆の信頼を得ていたという。
その藍染が裏切ったことにより、護廷十三隊には疑心暗鬼の嵐が吹き荒れているだろうて。

・・・この期を逃す手はあるまい?

こちらの放った間者に更に護廷十三隊を混乱に陥れ、奴らを同士討ちにさせるのじゃ。
そしてこちらはその混乱に乗じて奴らを封じ込める。

王族の武器鋳造は霞大路家当主だけが執り行う事が出来る。
我ら家臣はその秘儀は決して教えられぬのじゃ。
我等が知ることを許されるのは、せいぜいその武具の補修管理の方法のみ。

儂も試行錯誤にて同様の武器を作れぬものかとやってはみたが、口惜しい事に出来んかった。
やはり当主でなければならぬということか。
そして正統なる血筋の瑠璃千代にその秘儀を伝える者はもうおらぬ。
実質、霞大路家は終わっているのじゃ。

幸い、先代当主が作りし武器が全て王族に献上されているわけではない。
試作品や作ったものの何らかの理由で収められなかった武器は残っておる。

・・・そしてその武器庫のカギは儂が管理しておる。

時は今じゃ。
今しかない。
上級貴族のただの家老が、瀞霊廷の王になる機はこの機しかないのじゃ。
未だ無理があるのは承知の上。

されどこの雲井堯覚、だからといって躊躇するものでは断じてないぞ。


さあ、瑠璃千代に愁よ。
その哀れな運命を華やかな婚儀にて彩るがよいわ。

お前達が命をつなぐのもあと僅か。

暫しの喜びをかみしめることじゃ。




なんちゃって。
 

 

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