グロでマッドなお医者さん(涅マユリ)

「んんーーーー!!
ん!んんーーーーー!!!!」

・・・虚圏に奇妙なうめき声が聞こえていた。
うめき声を発しているのは、滅却師の石田雨竜。
いつものクールで知的な面影はどこにもない。

それはそうだろう。
彼は危機に陥っていた。
窒息死の危機だ。

窒息の原因を作っているのは乳。
涅ネムの乳である。
死にそうなんだから、押しのければ良さそうなものだが、あいにくだがそれは出来なかった。
残念ながら今の彼は、ザエルアポロとの戦いにより、内臓を破壊され、満足に動くのは彼の口くらいなものなのである。
その上、怪力のネムに両手を塞がれれば、後は窒息するのを待つしかあるまい。

「ん・・んんー・・・・・。」
だんだん抵抗が弱くなり、ぐったりとした頃、ようやく彼の鼻と口からネムの乳が離される。

「マユリ様、大人しくなりました。」
まさに、自分の体を張って雨竜を大人しくさせたというか、無理やり窒息させて落としたというべきか、のネムが相変わらずの無表情無感情で、マユリに報告する。

「やれやれ。ようやく静かになったようだネ。
どうもこの男は五月蠅くてかなわないヨ。ちょっと自分の体を弄られるだけでギャアギャアと。」

いや、普通の感性を持ち合わせている者なら、ギャアギャアというだろう。
こんないかにも危険なスメルがする科学者にいじられるわけなのだから。

「では始めるとしようかネ。」
「はい。マユリ様。」

すると、普通の感性を持ち合わせていない者から声が上がった。
「やっぱ俺から先に治してくれませんか、涅隊長」
同じくザエルアポロと戦い重傷を負った阿散井恋次である。

流石はヘタレッド。多少の危険は屁とも思わぬツワモノだ。
そうでなくては、虚圏潜入先遣隊でただ一人、勝利の無星になれるはずがない。←(笑)

「馬鹿かネ。君は?
治療の基本は手のかかる方からやるというのが基本だろう?
心配せずとも、直ぐに治してやるから、待っていたまえヨ。」

そして、何やら懐から注射を取り出したマユリ。
ブスーッと遠慮もなく雨竜に注射。
するとビクンとぐったりしていたはずの雨竜が飛び跳ねて何やら、苦しみ始めた。
「ぐ・・ああ・・っ」
「フン。やっぱり死ぬまでちゃんと窒息させておいた方がよかったかな。
せっかく静かになったと思ったんだがネ。」

「何んスか?それ。」
同じものを注射される予定の恋次が恐る恐る聞く。
「ん?これかネ?
内臓再生液だヨ。
何、怪しいもんじゃない。直ぐに内臓が再生されるはずだヨ。まあ、それなりに痛みはあるがネ。大した物じゃあ無い。」

するとマユリ、もがき苦しむ雨竜をチラリと侮蔑の入った視線を投げかけて、今度は恋次に注射予定らしい。
そして、恋次もまた内臓が焼かれるかのような痛みに襲われることとなる。
しかし、マユリは恋次に対してさらに厳しかった。
「何をしているのかネ?
早く着物を脱ぎたまえヨ。治して欲しいのじゃなかったのかネ?」

「ぐ・・・・!」
「やれやれ。君はもう少し痛みに耐性があると思ったのだがネ。
骨やら腱やらを繋げないと、動けないんじゃないのかネ?」

『くそっ。この変態科学者め!!』
ザエルアポロと言い、マユリと言い、科学者を自称する者とは一生仲良くなれそうにない恋次だった。


雨竜は少し意識を飛ばしていたらしい。
酷い痛みだった。内臓を破壊されたときも相当の痛みだったが、再生の痛みはそれの比では無かった。
「く・・そ・・っ」
体を起こそうとして、雨竜は自分の異変に気がついた。
服がない。そして、裸の上半身に、ネムが何やら巻きつけている。
黒いリボンと言うしかないものが、とても包帯の巻き方とは無縁な巻き方で巻かれている。
色が色だけに物すごーくSM系だ。

「何だこれはーー!!!」
開口一番、内臓が修復された元気な状態で叫び声をあげる。
「大人しくしてください。」
心なしか、ネムの巻くリボンがきつくなった。いや、心なしでは無い。明らかにだ。

「いつの間に服を脱がした!本人の了解ぐらい取るのがマナーだろう!

大体何の布なんだ!これは!!」

すると、またもや五月蠅くなった雨竜に、マユリが止めを刺す。

「やれやれ見て解らないのかネ?
調教(なお)してるんだヨ。」

「字が違ーーーーう!!!」


死んでも今後マユリの治療は受けたくないと思った雨竜を、先にリボン調教・・じゃないリボン治療を受けた恋次が、心の中で『同感だぜ』と珍しく心を共にしているのだった。




なんちゃって。

 

 

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