まばたき不要(ウルキオラ・シファー)

「ああ〜〜!ヒマだな〜〜!
ていうか、一体俺たちの出番何時になんだよ?
いい加減待ちくたびれちまうぜって言うか、いつも待ちくたびれてんだけどよ。」

虚夜宮に、黒崎一護の不平が盛大に放たれた。
だが、白亜の宮の壁は不平を吸収すること無く、声と供に反射させるだけだ。
虚しく一護の不平は木霊となって一護自身に帰ってくる。

「・・・見苦しいぞ。ここで悪態をついたところで出番が早くなる訳じゃない。
黙って、その時を待っていろ。」

一護をたしなめるのは、今度死闘を繰り広げる予定(笑)のウルキオラだ。

一護とグリムジョーに勝るとも劣らない因縁の対決!勝つのはどちらだ!!
・・と派手に前振りされていながら、本振りにならずに出番を待つこと何か月の状態となっている。

「よくお前、平気だな。
こっちは久しぶりで主役らしい活躍出来っかと思って、うずうずしてんのによ。
あ、お前もしかして、待ち合わせで何時間でも待てるタイプか?」
一護の問いに、無表情で答えるウルキオラ。

「必要であればな。
だが、待つのが趣味という訳じゃない。
大体俺も、閉鎖空間で既に何か月も一人きりで待たされた経験がある。
ようやく出てきて出番と思えば、今回も待つ状況だ。
待つという意味では、貴様の比ではない。

・・そんな事より、お前の番だ。早く取れ。」

「あ、そっか。悪りィ。
ええっと〜〜。コレだ!!

って、またババかよ!!何で俺ばっかババ引いちまうんだ?!」

「貴様の状況把握の悪さ故だ。」
「ああ”!ムカつくぜ!」
ウルキオラと黒崎一護。
ヒマに任せて只今トランプで、時間をつぶしているらしい。

ちなみに黒崎一護、圧倒的な敗北率だ。(笑)
今現在はババ抜き中。
二人でババ抜きという所からして、二人がトランプゲームを既にこの数か月でやり尽くしたことを意味してると言っていい。(笑)

ウルキオラに見えないよう、後ろで手札をシャッフルする一護。
「いいぜ。引けよ。」
広げられたカードにウルキオラの碧の眼が向けられている。

『なんつーか、作りモンみたいな目してんだよな。コイツ。
ガラス玉みてえだ。他の破面はまだ人間臭せえのに、コイツは喋る人形みてえだよな。

・・・ん?』

黒崎一護、16歳。
ふと気づいたことがある。

「今気づいたんだけどよ・・。」
「何だ。死神。」
「オマエ・・瞬きしねえのな。」
「今頃気づいたか。注意力が散漫すぎるぞ。死神。」
「待てよ?他の破面の奴等はフツーに瞬きしてたぜ?」
「そうだろうな。」

事もなげにウルキオラは肯定する。

「瞬きって、目を保護するためにあんだろ?
なんつったかな。眼球が乾かねえように、瞬きで涙を眼球につけて、保護してるんだっけか?」
「その通りだ死神。」
「オマエ、瞬きしねえでも眼球大丈夫なのか?
そんだけデカい目してたら乾くだろうが。」

すると、ウルキオラ全く表情を変えずにこういった。
「乾くに決まっているだろう。←笑
眼球の劣化は絶えず起こっている。」

問題ありまくりやんけ!

「じゃ、何で瞬きしねえんだよ。」
「大きな支障が無いからだ。
俺の眼球は強力な自己修復機能がある。
眼球ごと砕いたとしても、しばらくすれば元に戻る。

瞬きしない事で追うダメージは、俺の回復機能で帳消しとなる。
だから支障が無い。」

「けど、無理に瞬き我慢することもねえだろ?」
もっともな一護の問いにウルキオラはこう答えた。

「俺たちの戦いは響転などの超高速な戦いとなる。
瞬きの速さは平均で100〜150ミリ秒。

それだけの時間があれば、相手の後ろに回り込める。
つまり俺にとって瞬きに費やす時間は、戦いにおける隙でしかない。

瞬きなど俺にとっては不要でしかない。」

「へえ〜〜〜。」
奥の深さに感心する一護に、ウルキオラが追加説明を加え始めた。


「・・それに、俺は作り物めいたキャラという事で人気がある。
極限まで人間くささを取り払うからこそ、俺の個性が逆に浮き出ている。
少年の形をした人形のような可愛い容姿とおよそ感情の感じない言動。

そのアンバランスが俺のパワーポイントだ。
人形は瞬きなどしない。だから俺は瞬きなどしない。」


「・・そ、そうなのか。」

自分を売り込む戦略をそれほど細かく立てているとは知らなかった黒崎一護16歳。
脇役って色々考えないといけないんだなあと、こっそり心の中で思っている。

「・・もういいな。引くぞ。」
「お、おう・・!」
「・・・。ハートのジャック。
俺の勝ちだ。」

「またかよ!ていうかお前の眼ってホントはトランプの数字、裏からでも見れるんじゃねえのか?!」
あまりのウルキオラの勝率に、文句を言う一護。

「安心しろ。今はその機能は切ってある。」

そう言われて、一気に脱力した主人公であった。




なんちゃって。

 

 

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