まずは汗でも流そうか(藍染惣右介)
偽の空座町に降り立った惣さま達を出迎えたのは、尸魂界の居並ぶ隊長格だった。
元は惣さまも隊長だった護廷十三隊。
ずらりと並んだ面々を見て惣さまはこう思った。
『・・・隊長ならまだ理解できる。
だが、この場に副隊長を並べた所で何の意味があるというのかな?
私に副隊長ごときの攻撃が役に立つとは彼等も思っていない・・と思いたいものだが。
・・ああ、枯れ木も山の賑わいといったかな。
随分、寂しがり屋の隊長陣だ。』
「ていうか、自分もものっそい十刃呼び寄せ取るやんけ」、というツッコミはこの場合、当然やってはならない。
だって、惣さまは今更勝つのが解ってる護廷十三隊の隊長たちとなんて、バカらしくて戦わないつもりなんだもん。
鏡花水月にかかった人ばっかが何人いても意味がない、てな感じかな!
でも、山じい達はそんな事は知らないから、当然惣さまを引き離しにかかるわけで。
山じいの『城郭炎上』で惣さま達の周りには火の壁が出来ちゃいました。
「どないします?藍染隊長。
これやったらボクら参加でけへんよ。」
副官のギンが何やら嬉しそうに質問してきた。
参加でけへんとか言いながら、最初から戦う気なんてなかったやろが!この覗きスキーめ!というツッコミは大いにしたってください。
へたすれば、惣さまよりも戦わない副官。市丸ギン。究極のサボリ屋といえよう。
まあ、それはともかく、惣さまの答えは「何も。」
だって、最初から戦う気なんてこっちも無かったんだもんね!ていうか、副官が戦う気無いのに、その上が戦う気マンマンなんて、惣さまの前髪にかけても出来ません。
「ただこの戦いが、我々が手を下すまでもなく終わることになった。
それだけのことだよ。」
そうなのだ。いくら別に戦う気が無くても、向ってこられたら当然の相手しないといけないわけで。
面倒臭いことにならなくて、よかったかも。ナイス!城郭炎上!な惣さまだった。
「では、見ているだけで宜しいので?」心配性な東仙は落ち着かない様子だ。
確かに、ただ見ているだけというのは芸がない。
目の前には炎の壁。気温はじりじりと上昇中。熱い。
そうだ。折角こんな熱い所に暫く居ることなったのだ。
これを利用するというのも策の一つだ。
流石は惣さま、あらゆる状況を自分の都合のよいように利用する能力は流石でございます。
「・・そうだな、ただ見ているだけというのも、面白くないかもしれないね。」
「は!では・・。」
「まずは汗でも流そうか。」
「は?」
「せっかくのこの熱さだ。体脂肪を燃やすにはいい環境だとは思わないか?」
虚圏へ渡った惣さま。すっかりダイエットマニアになっていた。
「ええ〜?サウナ代わりですか?ボクこれ以上痩せたらただのガリガリになってまうんやけど。」
「油断は禁物だよ、ギン。年齢と共に新陳代謝率は落ちてくる。お前もそろそろ気をつけた方がいいだろう。」
『戦況を観察しつつ、ドライサウナ代わりにこの状況下で体脂肪をもやすとは・・・!
なんという偉大な方なのだ!!藍染様は!!』
改めて惣さまへの心酔度合いを強めた東仙だった。
なんちゃって。