藍染様のバレンタイン(ゾマリ・ザエルアポロ・ハリベル)

・・その日のゾマリは滾っていた・・。

その日とは2月14日、バレンタインデーだ。
想いを寄せる人に愛を伝える日とされている。

・・愛・・愛・・愛・・・愛と言えばアモール・・。
アモールと言えば・・・
「この私・・ゾマリ・ルルーの為の日と言って過言ではないでしょう。
さあ、行かねばなりません。
藍染様にこの私のアモールが、他の十刃とは格が違うということを知っていただかなければ。」

そして、ゾマリは藍染に謁見を申し出る。
「・・どうしたのかな?ゾマリ。」
謁見の間に藍染が姿を現した。
玉座の藍染はいつもの如く高みに居る。

「はい。本日は2月14日。バレンタインデーです。」
「そのようだね。」
「想いを寄せる方に愛を伝える重要な日。
ですので、まかり越しました。」
「・・・それで?」
「とくとご覧ください。
これが私の・・最大のアモールでございます!!!」

ゾマリ、いきなり刀剣解放!!
呪眼僧伽ドーン!!(笑)
さあ、ここで藍染様に最大のアモールを・・!とゾマリが思ったその時だった。

「・ゾマリ。君はどうやら勘違いをしているようだね。」
静かな藍染の声が玉座の間に響いた。
「何がでしょう。藍染様。」
「私が求めているのは君の愛などではないという事にだ。」
「な、何ですと?!」

「私が君たちに求めているのは愛じゃないよ。ゾマリ。
私が求めているのは、遂行力だ。
そこに愛など必要ではない。そんなものには意味はないからね。
だから、”それ”を仕舞ってもらえないかな?
それを見るべきは君の敵であって、私ではない筈だ。

もっとも・・君が私を敵だとみなしているのなら話は別だがね。
・・むしろ、そう理解すべきなのかな?」

「と・・とんでもありません!!軽率な言動お許しください!!」

・・・必殺技の愛(アモール)に意味はないと言われたゾマリ・・・。

・・撃沈(笑)。


すると今度は柱の陰から声がした。
「全く・・これだから頭の悪いヤツは嫌いだよ。
君の愛なんて、誰も喜ばないだろう?
第一何の利用価値もないじゃないか。」
「・・・ザエルアポロですか。
相変わらず盗み聞きがお好きと見える。」

声の主はピンク頭のザエルアポロだ。
「藍染様に贈るならもっと有用なものにすべきだとは思わなかったのかい?」
相変わらずもったいぶった態度ながらも、イヤミったらしさは絶品だ。

「ザエルアポロか。そんなところで何をしているのかな?」
すると、すかさずザエルアポロ、わざとらしい演技を披露した。
「申し訳ありません!!
僕も藍染様に贈り物を、と思いやってきたのですが、先客がいたため出るに出られず!!
この罪はいかようにも償います!!」
膝を折ってわざわざ詫びる姿は、それこそ役者のようである。

「そんなことはいいよ。ザエルアポロ。
・・で?君の要件を聞こうか。」
「はい。藍染様にこれを、と思いまして、お邪魔とは承知しつつやってまいりました!」
「・・要するに君もバレンタインのプレゼントということかな?」
「それについては解釈はお任せいたします!
どうか、これをお納めください。」

ザエルアポロが差し出したのは、なんと自分のフィギアだった。
自分とそっくりのフィギアを堂々と他人に贈るザエルアポロ・・。(笑)
ナルシストもここまでくれば大したものである。
「・・・何かな?それは。」
「はい。私の忠誠心そのものであります。
各関節は可動式。置いておきますと空気清浄の機能もございますし、なんと食べることもできます!!味はチョコレート味にしてみました。
その際は、最高の回復役としてお役に立ちます!
見てよし、置いてよし、食べてもよし。これこそ、有用の極みかと!!」

表情の動かない藍染。しばらくの沈黙の後、「近くで見てみよう。」と要に持って上がらせる。
流石に本物そっくりのフィギアだった。
じっとそのフィギアを見つめる藍染に、ザエルアポロはこの作戦が成功したことを確信した。
「どうかなさいましたか?藍染様。」要が問う。
「・・いや、彼の虚としての穴はどこだったかと思っていてね。
確か上半身にはなかったと記憶しているのだが・・。」

「それがどうかなさいましたか?」
「・・ああ、この辺だったかな?」
藍染の指先から何か光がフィギアへ発せられた。
そして・・・男性ならばとても残念な場所へ穴が開いてしまったフィギアが残された。
思わずぎょっとするザエルアポロ。
それはそうだろう。フィギアとはいえ、自分のそんなところに穴があいているのは見たくないものだ。ていうか、そんなところに穴ないし!!
と思った瞬間、フィギアが砕け散った。
「ああ、すまない。どうやら私の霊圧に耐えられなかったようだね。
やはり人形と君では比較にならないようだ。
ザエルアポロ。下がっていいよ。」

さらりと、ザエルアポロの刀剣解放の能力を当てこすられた気がして、ザエルアポロの頬がひきつった。が、そそくさと藍染の前から辞するのは、一度十刃から外れ苦労した経験に基づくものであっただろう。


そして藍染の前にもう一人の十刃が現れた。
「ハリベルか。君もバレンタインがらみかな?」
「はい。」
あっさり肯定するところがハリベルの漢らしさである。
ハリベルは何やら大きなものを抱えていた。布で覆われている。
「何かな?それは。」

すると、ハリベル。一気に覆いを取り払ったそこには・・・。
「・・私のパイ拓チョコです。」
キタ〜〜〜〜ァ!!!(笑)褐色のチョコパイがキタ〜〜!
「・ちなみに・・。」
ジーーーーッと小さな音がした。

「ここのジッパーは可動式となっております。」
下からジッパーもキタ〜〜〜〜〜ァ!!!(爆笑)

そして藍染の前髪が・・!前髪が・・伸びた〜〜〜ァ!!!←?

「お気に召していただけると幸いです。」
あくまでそっけない態度もまた心憎い。
「・・ハリベル。」「はい」
「君の気持はよく解ったよ。ありがとう。」
「当然のことをしたまでです。」


やはりこの手のことは十刃においてハリベルが一番ツボをつけるようだ。

一気に藍染の機嫌がよくなった事を、霊圧で感じる要だった。




なんちゃって。
 

 

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