僕は黒崎を憎む(石田雨竜)
・・・僕は死神を憎む。
死神は、滅却師を殲滅した。そして僕の祖父であり師でもあった人を殺した。
一生僕はこの憎しみを忘れることなないだろうね。
だから、同じクラスメイトの黒崎が死神の能力を持つようになった時は、心底不快な思いがしていたよ。
当然ながら、その時点で死神である黒崎は気に入らなかった。
でもまあ・・彼も人助けのために仕方なく死神の能力を手に入れることになったみたいだし、完全に死神の統治下に置かれてるわけでもないみたいだから、完全に死神と言い切れるわけでもないんだけど。
それでも、あいつの能力は基本的に完全に死神と同等のものだ。
見てると・・やっぱり気持のいいものじゃない。
でも、朽木さんを助けるために命知らずにも、尸魂界へ乗り込んでみたり、仲間思いのところもあるし、『たまたま』目的が同じという理由で一緒に戦う事が多くなった。
黒崎は気に入らなくても、一応はクラスメイトだしね。
同じクラスメイトの危機を見て見ないふりをするほど、僕は酷い男じゃないつもりだ。
だけど黒崎はやっぱり気に入らない。
大体、後先考えずにいつもいつも突っ走って、それがどういう危険なことなのか全く考えないんだ!あのバカ!!
それも一度や二度じゃない。
さんざんひどい目にあってるんだから、少しはもう少し冷静になるかと思えば、あいつ!全然変わらないんだよ!!
まったく・・あいつには学習能力というものがないのか?!
井上さんが虚圏に連れ去られたのを浦原さんから聞いた時、黒崎がどう行動するかなんて簡単に想像がついたよ。
読み通りに、一人ででも虚圏に行こうとしていた。
全く・・いつもいつも後先考えずに、しかも一人で何とかしようとするところは、何時まで経っても治らないな!君は!!
どうして、そう何でも一人だけで突っ走ろうとするんだ!
僕も当然行くつもりだ。茶渡君だって当然そうするだろう。
僕たちは仲間じゃないのか?いや・・完全に認めた訳じゃないけどね。
まあ・・一応黒崎も仲間と認めてあげてもいいよ。今回も井上さん救出という意味では同じ目的のために戦うんだし。←ツンデレの苦しい言い訳(笑)
それに黒崎は尸魂界から見放された存在だ。
能力は死神と同等とは言え、死神の規律からは完全に離れてるしね。
物は言い様さ。
虚圏での恐らくこれが最終戦になるだろう。
ウルキオラとの戦いは正直勝てるという見込みが無い状態だった。
黒崎は虚化の持続時間を大幅に増やしたにもかかわらず、ウルキオラには歯が立たなかった。
ウルキオラに胸の心臓部分に穴を開けられた時、最早治療するとかそういうレベルではなくなってたしね。黒崎は。
井上さんの事象の拒絶に頼るしかない。可能性は限りなくゼロに近いかもしれないけど、やらないよりはやったほうが良いからね。
僕は利き手の手首を飛ばされてたりとかしながらもなんとか時間を稼いでいた。
どこかで黒崎がなんとかすると信じていた。
そんな希望は何の意味もないとは思っていてもどこかで信じていた。
そして黒崎は立ち上がった。
完全な虚として。胸に穴が開いたまま、見たこともないような仮面をつけて。
そして呆然とするしかないような強さでウルキオラを倒していた。
何かやってくれるという淡い期待はしてたけど・・まさかこうなるとは・・。
下半身を失ったウルキオラはもう息が無いだろう。
でも黒崎は尚も攻撃しようとしていたんだ。普段のあいつなら絶対そんな事はしない。
それは僕もよく知ってる。
だから止めた。必死で止めようとしたよ。
いつか、正気になった時、死体に剣をふるうようなことをしたと黒崎が知れば、あいつは自分を絶対に許さない。
もう勝負は終わったんだ。ウルキオラに黒崎は勝った。
それだけで十分すぎるほどだ。
黒崎がそれ以上傷つく必要なんてない。
止めてはいても、黒崎は完全に意識が無い状態なのか、全く僕の言葉に反応しない。
ウルキオラへ向ける剣の力は依然強まる一方だ。
完全に虚になってしまったのか?黒崎!!
「それをしたら本当に・・お前は人間じゃなくなる・・。」
虚になってしまったら・お前は、滅却師からも・・そして死神からも敵となるんだぞ!!
「黒崎!!!!」
届け!とばかりに黒崎を呼んだ。
黒崎は煩いとばかりに僕をふりほどいたと思ったら・・・。
僕の腹には黒崎の剣が刺さっていた。
な・・お前のことを思って必死で止めてる僕にこれかーーー?!←ホントにね
さらに、黒崎は僕に向かって、虚閃の構えを取っていた。
しかも、虚閃ーーー?!!ちょっ・・!!僕はウルキオラじゃないんだぞ!!
そんなの喰らえば、灰すら残らないじゃないか!!
五月蠅いという言葉の代わりに、虚閃を出す奴がいるかーー!!!←ホントにねえ(笑)
なんだかよく解らないが、この虚閃はウルキオラのおかげでなんとか喰らわずに済んだ。
それどころか、一護の仮面は割れ、どこをどうやったらそうなるのかは全く解らないけど、超速再生で、胸の穴も塞がった。
そして、ガバっと勢いよく起き上った黒崎は、いつもの黒崎に戻っていた。
・・よかった・・・。←もうそりゃいろいろと良かったねえ。
黒崎はやっぱり虚になっていた時のことを覚えていないようだった。
どうやら胸に穴を開けられた後の事は覚えていないようだね。
井上さんの無事を確かめた後、僕の姿をものすごい勢いで視界に入れた。
まあ、当然僕の腹には黒崎の剣が刺さったままだ。
それを信じられないような眼で黒崎が見る。
「・・石田・・!」それ以上言葉が出ないようだけど、僕は心の底からほっとした。
「・・ようやく・・目が覚めたか・・。」
あのまま元に戻らなかったら黒崎は・・一体どうなってたんだろう。
正直あまり考えたくなかった。
どっと疲れと痛みが出てきたとき、黒崎はなんて言ったと思うかい?
「その傷・・俺がやったのか・・・?」
一体他の誰が、お前の剣を取り上げて僕の腹に突き刺すって言うんだ!!
ウルキオラか?!ウルキオラはそんなことしなくても槍みたいなの持ってただろ!!
お前以外の一体誰が居る!!?
ああ!!お前だよ!!虚になったお前が暴れまくった挙句、死体を斬り刻もうとかしてたから親切心で止めてやった結果がコレだ!!
・・・って・・・僕が言えると思うのか!!?
そんな事を僕が嬉しそうに言うとでも思ってるのか!!お前は!!
言えるわけないだろう!!
もっと空気を読め!!黒崎・・・!!!←(笑)
全くお前は・・!いつもいつも後先考えずに突っ走った挙句、虚になって大暴れして、その上親切心を出した僕に攻撃した挙句、綺麗さっぱり忘れるなんて・・!!!
やっぱり・・・。
僕は・・死神を憎む・・。
ていうか、黒崎を憎む。←笑
・・このことは絶対忘れないからな黒崎。
この先ずっとイビリ倒してやる。←何気に執念深かったり
なんちゃって。