一歩の成長(日番谷冬獅郎)

12月20日。
十番隊隊長、日番谷冬獅郎の誕生日である。

子供の体型ながら、卓越した霊圧、身体能力、そして判断力を備えた冬獅郎は、無愛想ながらも隊員に好かれる人物だ。

無論この日は、副隊長の松本乱菊を筆頭に誕生会なるものが開かれた。

当然冬獅郎にはプレゼントが渡されるわけである。

「隊長〜!お誕生日おめでとうございます〜〜!
はいvあたしからのプ・レ・ゼ・ン・ト。」
乱菊から冬獅郎に渡されたのは何やら、大きな包みだった。
「ああ。すまんな。」と言いつつ持ってみると、軽い。
何やら座布団の様な枕の様な・・。

「何貰ったんスか?俺にも見せて下さいよ。」と羨ましそうなスメルがにじみ出ている修兵が聞いた。
「ああ、開けていいか?松本。」「もっちろん〜〜v」
そこで、ド派手な紫の包みを解いてみるとそこには・・・。
ふたこぶラクダのコブだけ取ってきたかのような、物体が現れた。
「・・・・・・。」いやな予感がした冬獅郎、途端に口をつぐんでしまう。

「あたしのパイ枕〜〜v←笑
ほら、この頃よく眠れないって言ってたじゃないすか。だから〜〜、あたしのパイ枕を作っちゃいました〜〜!
この間に頭を置いて寝れば、もう最高〜〜!
これで隊長も、バッチシよく眠れちゃいますよ〜〜v」

「・・・・誰がこんなんで・・・眠れるかーー!!!」
早速冬獅郎、一喝(笑)。
すると、となりから修兵がいきなり同調した。
「そのとおりですよ、乱菊さん!こんなんでよく眠れるわけないじゃないっスか!」
「何よ、修兵まで。」乱菊の眼は修兵には常に厳しい(笑)。
「俺だったら・・・興奮しすぎて、ぜってえ眠れませんよ!!」
「アンタにあげてるわけじゃいの。横から出てこないでくれる?」←冷たい(笑)

すると、大分復調してきた雛森が今度は自分のプレゼントを冬獅郎に手渡した。
「あの・・日番谷君。」「だから、日番谷隊長だって言ってるだろうが。」
「あ、うん。わかった。日番谷君。←聞いてない(笑)
あの・・これ・・私からの誕生日プレゼント。あ、よかったら開けて見てね。」

「悪いな、雛森。」
で、冬獅郎が開けて見ると、そこには棒のような物が入っていた。
何やらメモリが付いている。
←こんな感じのシロモノ。
「何だこれ?」
「あのね・・身長を測るものなんだけど・・。」

ピシッ!!
一気に場が凍りついた〜〜!流石だ!雛森!!(笑)
「日番谷君、あたしよりも中身はずっと大人だし・・。隊長さんとして頑張ってるし・・。
後伸びてほしいのは、『背』(笑)くらいなんじゃないかなって思って・・。」

プレゼントとしてはこれ以上ないくらい外しているが、一応冬獅郎のことはちゃんと見ているようだ。
「・・ああ、ありがとう。」
「気に入ってくれた?」
「ああ。」←ついそう言ってしまうのが、男前、冬獅郎だ(笑)
「よかった!あのね。これ科学技術局に作ってもらったの。」

この身長を測る棒、どうやら対象者の霊圧を察して自動的に身長を計測できるシステムになっている。
「何だ?このボタンは。」
「それがよく知らないの。あ、そういや阿近さんが、涅隊長がいじってたって言ってたけど。」

「・・涅が?」途端に眉根の皺が寄る冬獅郎。
「・・・。」それでもぽちっとボタンを押してみた。
すると・・・。

「計測出来たヨ。133センチだネ。
何だネ、この背は。人間の9歳児並の身長じゃないかネ。君は今いくつなのかネ?」
なんと計測器が喋ったのだ。

ヒョオオオ・・・・・!!!!

その場にブリザードが吹いた。

ポチッ。←それでも押す冬獅郎(笑)
「計測出来たヨ。133センチだネ。
何だネ、前と全く変わっ取らんじゃないかネ。←注)なんと前回の記録を覚えている。

君、しっかり食べているのかネ?」

「・・・・・。」更に凍りつくその場!!
ポチッ。←まだ押すのか冬獅郎!

「計測出来たヨ。133センチだネ。
おや、まァ、ここまで伸びないと気の毒だネ。
悪い事は言わないから、私の所へ来ると良いよ。
背の伸びる薬を特別に分けてあげようじゃないかネ。
何、君は知らない仲じゃないから特別に・・・。

・・・2割引で手を打とうじゃないか!←商売の鬼キタ(笑)」


「・・・・・涅・・。
あの野郎〜〜〜〜〜!!!!」

怒りのボルテージは上がる一方だ。
どうやら、マユリはさらに冬獅郎に嫌われる結果になるようである。

「・・やれやれ、この様子じゃ、お菓子をプレゼントしてもまた怒りそうだな・・。」
様子を眺めて、ため息交じりなのは浮竹十四郎だ。
「まあ、いいじゃないの。賑やかな誕生日で。」
親友の京楽春水も同席している。
「それはそうなんだが・・。俺は直ぐ大きくなってしまって解らないんだが・・やっぱり背が伸びないというのは辛いものなんだろうか。」
「背が伸びなくたって、彼はちゃんと成長してるさ。
ご覧よ、日番谷君・・今まではこんなに大勢の前で、あんまり怒ったりすることなかっただろう?」
「そういえば、そうだな。」

「感情をただ押さえるだけじゃなくって、ああやって自分の感情を上手く出していくのだって、ちゃんとした成長さ。
日番谷君はちゃんと一歩ずつ成長してる。
・・・たとえ彼自身が気付いてなくてもね。」

「そうだな。これからの成長が楽しみだ。」
「こっちものんびりしてられないねえ。抜かされないように気を付けとかなきゃ。」
「全くだ。」

ポチッ。
「計測出来たヨ。133センチだネ。
全くここまで伸びないと、気の毒を通り越して、ある意味希少種と言えなくもないネ。
どうだネ?私の実験体として、立候補する気は無いかネ?」

こちらはどうやらバリエーションを確認作業に入ったらしい。(笑)。

「・・涅隊長・・すごい・・。
あたしのために、こんなにいっぱい吹きこんでくれるなんて・・。」←違う
「雛森、そこは感心する所じゃねえ。」

いまだ全快とは言えぬ雛森。

そして、冬獅郎は今年もひとつ年を取る。




なんちゃって。

 

 

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