己の存在(ウルキオラ・シファー)

俺達破面にとって、世界は二つに分かれている。

藍染様にとって必要か、そしてそうでないかだ。


NO.4十刃。
それが俺だ。
力の序列は上から4番。藍染様からの命令を受ける回数では一番だ。
それを面白くないと思っている連中は多い。
『なんで、4のくせにあいつばっかり。』そう俺の目の前で口にする奴もいる。

そんな下らないこともお前たちは解らないのか?
俺が単に理解しているだけだ。世界が二つに分かれていることをな。

藍染様は黒崎一護という死神を気に入っている。
それに気づいている者は少ない。

それは藍染様の立てた筋書きを、例え僅かでもあのガキが狂わせる存在だったからだ。
たんなる死神の力を手に入れた人間のガキが、藍染様の計画に何度も修正を加えるに至らせた。

予想以上の成長。
将来、藍染様にとって邪魔になるとも限らない。
だが、藍染様はあのガキを見逃した。
いくらでも殺せたのにだ。

何故藍染様はあのガキを見逃した?
その場で殺すには惜しいと思ったからだ。
つまり、あのガキは藍染様にとって必要と判断されたことになる。

そして、その後あのガキの能力を見に行くように言われたのはこの俺だ。
何故藍染様は俺を選んだ?

まずは俺が俺の役割を理解しているからだろう。
そして、もう一つあると俺は見ている。

おそらく藍染様は、近いうちにあのガキが俺のレベルまで上がってくると見ている。
だから、あのガキの始末は俺に任せた。
他の奴らは、上がってくる前にあのガキを殺してしまうからな。
俺と対等にまで上がってこれるかどうかが、あいつの死線というわけか。

そして、あのガキが上がってくれば俺は用済みとなる。
俺はあのガキを刺激し、成長させるための捨て石だ。

成長したあのガキが藍染様にとってどう使われるかなど、俺にとっては関係の無いことだ。
どうせ、その時には俺はこの世には居ないのだからな。

感情が無い人形のようだと、俺を評する者がいる。
・・感情か。
確かに、俺には必要もないものだ。
物事を理解し、それも基づき思考する能力は必要だが、そこに感情などは必要ではない。

なぜなら俺達破面は、藍染様によって生み出された存在だからだ。
全ては藍染様の為に。

俺たちの世界は、二つに分かれている。

藍染様にとって必要か、そしてそうでないかだ。


今日必要とされても、明日もそうだとは限らない。
全ては藍染様が決めることだ。


そこに俺の感情などというものが差し挟む隙などない。
だから俺に感情は不要なのだ。

全ては藍染様の為に。
俺の存在意義はそれだけだ。

そして、黒崎一護は成長した。
No.6のグリムジョーを倒し、明らかに強くなっている。

俺の目論見は当たるのか。
どのみち、俺を倒さなければこのガキに道はない。

…お前の力を見せてみろ。

後は藍染様が判断することだ。





なんちゃって。

 

 

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