本日も浦原商店は泰平なり(浦原商店)

春先の冷え込むそんな夜は・・・

おでんの湯気がよく似合う。


炬燵の上の一つの大なべを家族みんなが囲み食事する。


そんな、昭和の旧き食卓の風景が残されているのが、浦原商店の食卓の風景だ。

家長であるのは、浦原商店の主である、浦原喜助。
実の子供ではないにせよ、ちゃんとここには子供たちが2人居る。
上が、おとなしくてやさしい性格のウルルという女の子。
下はわんぱくで、いつも年長者をいじめて泣かせてばかりいるジン太。

そして、彼らに飯をついでやったり、お茶のお代わりを出したりとなにかと世話を焼いているのが、純白フリルのエプロンがよく似合う、お下げでマッチョなヒゲメガネの男・・・・。


・・・ん?今何かかなり違和感が今あったような・・・。
・・・きのせいだろうか・・。


昭和ノスタルジー・・・。

そんな、家族団欒の時間には、当然おかずをめぐる、子供たちの喧嘩は欠かせないものなのだ。

「あ!ウルル!!テメー、俺のコンニャク今とっただろ!」
「・と、取ってないよ・・。お鍋からとっただけだもん・・。」
「そのコンニャクが俺のだって言ってんだよ!!」

・・子供の好きなものと言えば、卵にコンニャク。続いてモチ巾着。
肉好きな子供でもおでんのなかのスジといわれる肉に手を伸ばすのは、思ったほどいない。
ゼラチン質のあの触感は、ハマらない子供には苦手なものとなってしまう。


「そんなの・・他にもコンニャクあるじゃない・・。それを取れば・・・。」
「俺は<ソレ>が俺んだって言ってんだよ!!先に俺が目を付けてたんだから、俺のだ!!」

・・無論、ジン太の全くのいいがかりである。

「お前が俺の盗ったんだから、お返しだ!そら!」
「あ!あたしの卵・・。」
そのままウルルの卵をガブリとやってしまったジン太・・・。

「へへ!玉子イタダキ!!」
「ひどい・・・。今日、卵は一人ひとつしかないのに・・・。」

無論、ジン太はウルルの卵が最初から目当てだったのだ。
コンニャクはただの云いがかりである。

「・・あたしの・・・一番好きな卵なのに・・。」

ゴゴゴゴゴゴゴ・・・・・!!!
な・・なにやらウルルの様子がヘンだぞ!!

「ヤベエ!!怒りにアテられて殺戮モードになってきやがった!!!」

「あなたは・・危険・・・。
あたしにとって・・・危険・・・。

あたしのご飯への・・危険・・・。

危険は・・・敵・・・。


敵は・・・排除。」


「って、卵でイチイチ殺戮状態に入ってんじゃねーーー!!」

「問答は・・無用・・。」←?

「あ、今お前何気に正気だったろ!!
ギャ〜〜!!テッサイ!
早く止めろよ!!」

「もともとはジン太どのが撒かれたタネ。
ここは潔く、自ら責任をとるべきですな。」

「店長ーーー!!」

「ほらほら、兄弟げんかはそれくらいにしておいて〜〜。

でないと、最後のコンニャク、アタシが食べちゃいますよ〜〜んv」

「あ!いつ間にそんなことになってんだよ!!」

「敵は・・排除・・。」

「って、お前まだ殺戮状態〜〜?!!」


・・・・昭和のノスタルジー、浦原商店。


平成に入ったので、通常と別のテイストが少々加味されているものの、本日も泰平にて終わるようである。


・・ん?「少々」?


表現を「多少」と変更したほうが、正確やもしれんが・・。


それでも、浦原商店は泰平なのである・・・。





なんちゃって。


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