看護婦長、松本乱菊(基幹病院BLEACH)
・・・基幹病院BLEACH。
病棟の廊下をコツコツという、靴音が響く。
その足音を立てる者こそ、この病院における看護婦長だ。
・・・現在は、看護婦ではなく、男性女性問わず看護師と呼ぶことが多いため、看護師長とでも言うのだろうが、なぜかこの病院においては看護婦長と言われている。
言うまでもなく、看護婦長は全ての看護師をまとめる立場にある。
基幹病院における婦長ともなれば、その発言権はドクターをも脅かすと言う。
当然、キャリアのあるベテランの者がつくことが多い。
どんなに手のかかる患者でも・・・最終的に言うことを聞かせる責務を、その者は負わねばならぬのだから。
当然、恐れられることも多い看護婦長。
この病院においても、その存在は絶大だ。
入院患者たちは、皆一応に彼女が回ってくる時刻になると、どんなにワガママ放題の患者においても自らベッドに戻り、横たわったまま直立不動の姿勢で彼女を待つ。
・・コツ・・コツ・・コツ・・コツ・・。
白いピチピチのナース服。
白いストッキングは、これまた白いガーターベルトで止められている。
ナース服の裾丈は膝上30センチ。
当然ながら、ストッキングと服の間に、世のオタクたちが土下座してありがたがる、絶対領域が神の領域として存在する。
はち切れんばかりの胸元のボタンは3つまで外され、そこからはまたこぼれんばかりの豊かなおっぱいが顔を出す。
流石に腰まで流れる金髪の長い髪は、頭の上でまとめられている。
・・・夜のお勤めのコスプレ嬢ではない。
確かに夜もお勤めすることもあるが、れっきとしたこの病院の看護婦長なのだ。
この病院において、女性看護師はほとんどがミニだ。
膝上何センチというのが、彼女らの気合と比例する。
故に、スカート丈が膝丈などという女性看護師は、どんなに優秀な看護技術を持っていたとしても同僚から「チキン」と評されてしまうのである。
ちなみに今現在、チキンな看護師No.1は虎徹勇音という女性らしい。
スカートが恥ずかしいと言う理由で下になんと白いズボンを履いているという。
当然、婦長ともなれば、その気合もまた病院一。
つまり、膝上の丈は誰にも超えられない所にある。
その婦長の名を紹介しよう。
その名は・・・松本乱菊だ。
ドクターさえもあごで使うという彼女は、まさしく病棟の女帝だ。
「○○さん?
今日のお加減はいかがですか?あら・・元気そうじゃありませんか。」
乱菊が元気そうと評したのは、患者の顔色の事ではない。
どこか「別の物」を見て「元気」と評したのである。
「はい。おかげさまで、今日も元気です。」
顔を赤らめながら答えたのは、50過ぎのオヤジ。
なんでも大会社の重役らしい。
我侭放題を言い、看護師の指示に全く従わなかったため、乱菊の出番となった患者だ。
採血を自ら行った際のやりとりだ。
「○○さん?採血しますね?さ・・・手を出して・・?」
なんと、乱菊患者のベッドに腰掛け、足を患者の方に組む。
当然患者は乱菊の絶対領域に釘付けだ。
「・・はい・・チクッとしますよ・・?」
何時もは文句のマシンガンと化すその患者も、流石に大人しかった。
的確に血管を捉え、採血を終えた乱菊。
元々の担当看護師に注射器を渡すと、やさしく患者の腕を撫でてこういった。
「はい。終わりです。
よく我慢なさいましたね。」
うっとりする患者。
「・・それと・・・また検査の時間に抜け出されたんですって?
困りますわね・・。
・・あまり私たちの指示に従っていただけないようでしたら・・残念ですけど転院していただかなくてはなりませんの。
有難いことに、この病院人気があるようで、いつもベッドの空きを待ってらっしゃる患者さんが、たくさんいらっしゃいましてね。
・・でも、○○さんがこちらにいらしたのも何かの縁ですもの。
お別れするのは、私としても寂しいわ・・。」
尚も手をなで、今度は患者の目を見ながら言う。
「・・・私たちの言うことを・・・聞いてくださいますわね・・?」
「はい!もちろんです!!」
転院させられては適わないと、散々担当看護師を困らせてきた○○が、少年時でもこんなに素直でなかっただろう態度で答える。
それは当然だろう。
・・・こんな目の保養と医療の充実が図れる病院などないのだから。
「いい子ね・・嬉しいわ。
じゃ、担当の事をちゃんと聞いてくださいね?○○さん。」
頭をふわりと撫でられて、鼻の下を伸ばしきった患者に最早大会社の幹部の威厳はない。
部屋を出て行く乱菊が見えなくなるまで手を振り続けていたそうな。
時には暴れる大男を羽交い絞めで大人しくさせ・・
時には強権で病院から放り出す。
しかし、彼女はあくまで看護のプロなのだ。
要は、どうやって円滑な治療を行えるようにサポートするか。
彼女の裾丈はその、気合の現われでもあるのである。
・・・基幹病院BLEACH。
彼女もまた、病院を支える一人である。
なんちゃって。