家族記念日(黒崎家の人々)

ここはとある遊園地・・。
そこに、奇妙な家族連れがいた。

・・・その一家はファミリーばかりの遊園地でもかなり目立った存在だった。

家族数は4名。
双子と思われる小学校高学年の女の子2名と、いかにも無理やり連れてこられたと思われる、仏頂面の兄。そして、父親と思われるヒゲの男。
兄の頭はオレンジ色だ、かなり目立つ。
そして父親の服装はありえないほど派手だ。もちろんかなり目立つ。
・・・何より・・父親は煩かった・・・。


この目立つ一家は当然ながら黒崎家の人々だ。

たまにはどこか行きたいという、夏梨の呟きから、父一心の家族サービス愛に火が点火され、暴走した父の愛が、いやがる一護を引きずって連れてきたのである。

乗り物好きな夏梨が殆どを仕切っていたのだが、遊子の希望も聞こうということになり、遊子の希望が言い渡された。

「あたし・・あれに乗りたいな。家族みんなで。」
指差された先を見て、一護の顔が引き攣った。

指の先にはメリーゴーランド・・・。
多感な思春期の男子にはちとつらい乗り物だ。


「・・俺はパス・・。」
「家族全員といっただろう!さあ!一護!!行くぞ!!」
「って、男があんなもんに乗れるか!!大体てめえ恥ずかしくねえのか!?」
「いいや?全然?」

思春期の男子学生の恥じらいは彼の父には理解されなかったようだ。
尚も抵抗を続ける一護、一心と夏梨が引きずられてメリーゴーランド乗り物ゲートに登場。

「さあ!一護!お前にはこれがふさわしい!
立派な白馬だぞ!!←メリーゴーランドの馬は大体白馬と決まっている。
一番外側だから、周りもよく見えるしな!!←要するに最も人目につくということだ。

心配することはない!この父はお前の後ろに居る!万が一お前が落馬するようなことがあっても、大丈夫だ!!←メリーゴーランド回転中に遊ぶのは止めましょう。

なんだ!その顔は!そうか!やはり怖いか!!
ならば仕方が無い!この父の前に乗れ!俺が後ろから支えて・・・ぐお!!!」
「やかましい!!!」


・・・メリーゴーランドの男の二人乗りは流石に見たくないものだ・・。

しかも平均身長超えた男2人で。(爆笑)

しかし一護に止めを刺したのは、可愛い妹たちだった。


「一兄、早く乗らないと動き出すよ?」
「お兄ちゃん・・どうしたの???」

思春期の男のプライドも妹たちには理解されなかったようである。


そして、メリーゴーランドの軽やかな音楽が流れ出した。

「・・・・・・・。」


・・・黒崎一護。16歳。←誕生日が来たから。

職業、学生及び死神代行。


現在、白馬の騎士となってくるくると旋回中。(笑)

「うわ〜〜!野郎がいい年してメリーゴーランド乗ってる〜〜!」

「・・・・・。」

・・・世間の風は冷たい。

「どうした!一護!!手を振るんだ!!!見てくれている人たちに手を振れ!!」

「・・・・・。」


そして・・彼の父は今日も無駄に熱かった・・・。





一護も、そして妹たちも、これから自身の世界が広がり、家族よりも友人と過ごす時間がより増えてくる頃合だ。
おまけに、性別も違う兄妹だ、年とともに顕著になっていく。

家族でどこかに行くという機会はそうそう無くなって来るに違いない。


そんな彼らに、この日は、思い出として残ることとなる。



良きにしろ悪しきにしろ、家族の記念日となった日であった。






なんちゃって。

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