剣ちゃんの食卓(更木剣八)

剣ちゃんは特に好き嫌いはない。
・・・納豆は別だが。
でも納豆以外は何でも食べる。

ていうか、食えるものならそれでいいと思っている。

剣ちゃんは更木出身だ。

更木では、食べるものに文句をつけているような奴はまず生き残れない。
食えるだけでも幸せなのだ。

一つの蜜柑をめぐって、命のやり取りをするなんてこと、別に珍しいことではない。
よって、マズイから食わないなんてこともありえないのである。


でも、剣ちゃんは納豆が嫌いだ。
ていうか、納豆の糸がキライなのだ。
別に豆が腐っているから(発酵)というわけではなく、あの糸がいつまで〜〜もビヨ〜〜ンと伸びるのが嫌いなのだ。
そのままかぶり付け!というのもなんか違う。

何処までも伸びる納豆の糸・・・・。
そんな時、剣ちゃんはこう思う。

「斬りてえ・・。」と。

でも納豆の糸を斬った所で、全く楽しくないので止めている。
代わりに何か斬って楽しいものを探しに行くことにしている。
一部にはそれが迷惑だという意見もある。
でも剣ちゃんにとっては知ったことではない。


それと、剣ちゃんは食べるのに面倒くさいものも、実はあんまり好きではない。
オクラのとろろとか、山いものとろろとか、糸が切れるのを待っていないといけないからだ。
「・・待つなんてのは性にあわねえ・・。」
でも、剣ちゃんは何時もまっている。


甲殻類、特にカニも食べるのに面倒くさいので、自分では頼まない。
カニの足を嬉しそうにホジホジしている弓親を見ていると、「・・・コイツ、結構気が長いな。」と思ってしまう。
でも剣ちゃんの頭はどう見ても甲殻類だ。


それと懐石料理もあまり好きではない。
一つ食ったら、また一つ出てくる。
それを食ったら、また別のものが出てくる。
そういうのが延々と続くわけだ。

「出せよ、最初から全部。もったいぶらずによ。」
懐石料理を考えたという人物とは絶対剣ちゃんは合わないだろう。

それがもてなしの心だというが、自分をもてなしたいなら最初からド〜〜ンと出して欲しいと思う。
最初からド〜〜ン、と出して「さあ、食いな!!」と言われた方が、よっぽどもてなされていると剣ちゃんは思う。でも、同僚のびゃっくんは懐石が好きらしい。


味については、文句をつけたことはない。
砂糖と塩を間違えて作られた料理を出されても、剣ちゃんは普通に食うだろう。
そして後で言うに違いない。
「なんか・・変わったメシだったな。」
旨いまずいなんて、その程度の問題なのだ。


やちるはそれでもなかなか食べるものに煩い。
基本的に甘いものには目がない。
剣ちゃんもよくつき合わされている。

そんなやちるは今、「すぱげってぃ」というものにハマっている。
「なぽりたんすぱげってぃ」というのがいいらしい。
当然、剣ちゃんもつき合わされている。

「あたし、『なぽりたん』!!剣ちゃんは?!!」
やちるに聞かれて、メニューを覗く。
よく分からない世界だ。

「おめえと同じでいい。」
85パーセントはやちると同じものを頼んでいる剣ちゃん。

今日も、やちると二人で口周りをケチャップで赤くしている姿が見られるだろう。
「あ、剣ちゃん、口にケチャップついてる〜〜!!」
自分のことはさておき、やちるに口を拭かれている姿も見れるかもしれない。


そんな剣ちゃんも戦いのことになると別人になる。


でもたまには、こんな時間もあってもいいかもしれない。




なんちゃって。

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