狛村の義骸を作成せよ!!(技術開発局)

・・・ここは技術開発局。

あらゆる難問をその持てる技術により打破する事を、目的及び使命としている部局である。

しかし、現在彼らにとって数年に一度とも言われる難依頼に頭を悩ませているのだった。
事態は深刻だった。

・・何しろ、技術開発局の局長である涅マユリすら、放り出した依頼なのである。
マユリは依頼を放り出す際、こう言ったという。


「フン。犬の義骸などに興味は無いヨ!」


そして、彼の娘にして副官である涅ネムはこう助言したと言う。


「・・はい。マユリ様。」←助言なのか?



・・・仕事しなよ、君たち・・・。(爆笑)


かくして技術開発局局長及び副局長に放り出された難依頼は、その部下たちによって引き継がれることとなったのである。



「・・・・。
で?どうする?阿近」

聞かれた、今回のプロジェクトにリーダーとなった男が力強く答える。

「どうするって、どうするよ?鵯州(ひよす)」←うわあ!なんて力強い〜〜!(笑)

「イヤ、俺は技術開発局通信技術研究科霊波計測研究所研究科長だから、こういうのは専門外だし。」
「・・・今お前むやみに長い経歴でごまかそうとしてるだろ。」
「逃げさせてくれい。」
「バカ、それでも仕事だろうが。」

彼らを悩ます依頼とは・・・。
七番隊隊長狛村左陣の義骸を作るという依頼である。


義骸・・・本来は霊力を失い弱体化した死神が、回復するまでの間、人間に成りすますために用いる仮の肉体をさす。
しかしながら、任務などで現世に長期滞在する場合、現世の霊的影響を抑えるために用いられる事もある。

われわれ人間は死神ではないため、義骸の装着感はどうやっても分からぬが、無論死神の骨格容姿などシンクロ率が高いほうが、より動きやすくなる事は確かだろう。
むやみにでかい着ぐるみや、小さな着ぐるみだと中に入った人物がそれだけで疲れてしまうようなものだと考えられよう。


狛村左陣。
身長235cm 体重180kg 

・・でかい。
・・いや・・それだけならまだいい。ギネスブックにも同じ身長の人物がいることが確認されているからだ。
不自然だが、前例がある。


・・しかし・・・。
流石にギネスブックを何処を探しても、人狼の記録はない。

シンクロ率を高めるならば、今の狛村そのまんまの姿で義骸を作らねばならぬのだが、そんなもんを作った日にゃあ、義骸で現世に降りた直後、狛村は警察及び機動隊及び自衛隊に取り囲まれることになるだろう。

・・それでは仕事にならない。

「・・ていうか、狼事体が絶滅してるしな・・。
やっぱ犬か?その代わりにサイズ変更なしで。どうだ?阿近。」
「235センチの犬なんぞが、その辺の道ウロウロしてみろ。一発で警察沙汰だぞ。
大体、そんな犬飼える家探すほうが大変だ。」

「いっそ、シンクロ率を無視して普通の現世の男の外見をした義骸をあてがったらどうだ?」
「お!それいいかもな。
ツラは狛村隊長の希望道理にしてやるっていうのはどうだ?」
「『わしはこんな男に生まれたかった。』ってえのをやってやるわけか。
いいじゃねえか、なんか人助けみたいだし。」
「じゃ、本人の希望を聞いとくか。」


・・かくして・・・狛村の希望を聞く日がやってきた。
「まあ、そんなわけで、外見は現世の人間見たくしようかと思ってまして・・。
で、なんか希望あります?理想とか。」
「なるほど。承知した。

・・そうだな・・・。
わしの理想は・・・そうだな日番谷隊長のような小柄な体つきと誰からも愛されるような愛くるしい顔だろうか・・。
一度でいいからああいう外見になりたいものだ。」

目をうっとりさせて話す狛村。


一方、阿近を鵯州は心の中でこう叫んでいた。
『寝言で遠吠えすんじゃねえ〜〜〜〜!!!』

しかし、彼らは大人だった。

「・・・すんません。シンクロ率が10パーセントを切ると流石に動かんと思います。義骸が。ていうか、足も入らないと思いますけど。」
「・・そうか・・やはり無理か。」
「まあ、理想はともかくとして、現実路線で行きましょう。
一応まだ小さいですけど2メートルの男性型義骸ありますから、試しに入ってみます?」
「おお、そうだな。そうしてみよう。」

「はい。これっス。」
「・・む・・やはりきついものだな・・・。」

四苦八苦しながらも義骸に入る狛村・・・。

ようやく入ったものの、様子がおかしい。
なにやら寒そうに両腕あたりをしきりにさすっている。

「どうしたんスか?」
「・・・なにやら・・・腕だの足だのが異常にスースーするのだが・・・。
・・・落ち着かん・・・」

「・・・毛・・無いっスからね・・・。」←爆笑

「京楽隊長くらいには毛は移植できますけど、元の姿みたいには出来ませんよ?」
「京楽か・・。確かに毛は薄いな・・。←あくまで自分基準。(笑)」
「・・・ああ・・・・そ・・そうっスか・・・。」

だんだん目が遠くなってきたぞ、阿近!!
しっかりしろ!!(笑)

「じゃ・・思い切ってペットタイプになりますけど、犬にしてみます?
狼は日本じゃ絶滅してますから、無理なんで。」
「わしは、犬ではないのだが・・。」

「まあ、試しに作ってみますから、また出来たら試してみてください。
気に入らなかったらまた何か考えてみますから。←あ、なげやり。」



その夜の技術開発局・・・。

「犬の大きさってどんくらいでかくなれるんだ?」
「ギネスブックってえのには立つと2メートル18センチっていうのがあるらしいぜ?」
「それだ。それ。」
「グレートデンていう犬の種類だそうだ。阿近、今日タバコ何箱めだ?それ。」
「吸わずにやれるか、こんな仕事。犬の種類なんざどうでもいい。それで行こうぜ。」
「そうでもないぞ?ちょっと問題がある。」
「何だ?」


「グレートデンてえのは短毛種だそうだ。

・・・狛村隊長・・・・ふさふさじゃなくても納得してくれっかな・・。」

「・・・・・・・・。

・・・・狛村隊長の方を毛狩りすりゃ、シンクロ率も上がるだろ・・・。」



・・・・狛村の義骸がどうなったかは・・・・・




・・・・定かではない・・。










なんちゃって。

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