内科医、斑目一角(分院BLEACH)

・・・巨大基幹病院BLEACH。

実はこの病院には分院がある。
ごく小さな分院だ。

診療科目は外科と内科。
本院のように、細かく分類されることはない。

小さな分院だが、経営状況はすこぶるいい。


・・・・それは、その分院の特殊性による。

この分院には一般の患者は訪れない。
訪れるのは・・・

「一角!!今電話が入ったよ!
○○組と××組の抗争で、3名負傷!
1名は腹部を刃物で刺されているらしい!

あと10分くらいでつくそうだ!」

・・訪れるのは、「その筋」の患者ばかりなのである・・。

「ああ?ま〜たやりやがったのか、あいつらは。
ちっ・・更木さんがいねえ時に・・。
仕方ねえ、俺がやる。弓親、手術の準備だ。
一応、更木さんとあのドチビに連絡入れとけよ?」

「わかったよ、一角!!」

看護師の弓親が慌しく動き始める。

本来、一角は内科医としてこの分院で働いている。
しかし・・

「来たよ!一角!!」

「先生!たのんます!!」
「兄貴!!しっかりしてくれよ〜〜!」
「うう・・・」

「やかましい!!お前らは外で待ってろ!!いいか!中入ってくんじゃねえぞ!
弓親!始めるぞ!!」
「分かった!」

時によっては・・・外科医に早変わりする。
一角はこの分院に来るまではバリバリの外科医だった。
この分院に来るにあたって、内科医に転向したのだ。
なぜなら・・この病院には・・・。

「・・よう、面白そうな事になってんじゃねえか。」
「あ!患者さんだよ?剣ちゃん!」
外科医、更木剣八が既にいたからだ。

「あ、更木さん。代わりますか?」
「いやいい。てめえの獲物だ。てめえでやりな。」

本院の方で、診られない「その筋」の患者を分院の院長として剣八が診ていた。
一角も外科医として、入る予定だったのだが、内科としての機能も多くの患者が希望していると知り、転向したのだ。

今や、普段の平静時は内科医として、そして抗争があって負傷者が続出したときには外科医として働いている。
機動力がある医師として、患者の評価は上々だ。

この手の病院は、特定の組と懇意にするものだが、この分院にはそんなものはない。
何処の組だろうが、手が空いている限り受け入れる。

ベッドに余裕がある時には、組ごとに部屋を分ける程度の配慮はするが、混んで来れば抗争した同士の組の患者が同室になるときもある。

そんな時、この病院内で騒ぎを起こせば、どんな死に掛けた患者でも容赦なく放り出されるので注意が必要だ。

何せ、この分院の院長の剣八は、「合法に人が斬れるから」との理由で外科医になった男だ。
やくざよりも、よっぽどやくざな医者なのである。

そんな剣八に惚れて医者となった一角だ。
基本路線はしっかりと踏襲している。

「よし・・なんとか繋がったな、腹。」
この分院では医者の性格が出るのか、縫い方は少々荒いが、腕は確かな者ばかりだ。
夜間でも、文句を言いながらも対応してくれる。

もちろん、治療費は高い。

それでも、この分院の存在が、「その筋」の者にとって命を守ってくれる存在であることには変わりはない。



「てめえ・・なんだ、この血圧は〜〜!!
ちゃんと薬飲んでんのか?!

あ?この頃忘れてただ?
忘れてたじゃねえだろうが、コルァ〜〜!!!
治す気あんのか、てめえ〜!!!」


今日は一角は内科医になっているようだ。


一角の怒号が響く日は・・・平穏な証拠でもある。

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