ネバーランドの住人(草鹿やちる)
・・・大人になんて・・なりたくない・・。
みんなは小さい頃、なんて思っていた?
『早く大人になりたい』と思ってた?それとも『大人になんてなりたくない』て思ってたのかな?
あたしはね?
絶対後のほう!!
大人になんてなりたくない。ううん。ならないの。絶対に。
あたし、剣ちゃんに命を拾ってもらった。
今のあたしはみ〜〜んな剣ちゃんから貰ったものなの。
あたし・・知らなかった。
剣ちゃんに会うまで。
誰かに甘えてもいいんだって。
誰かに助けてもらえる存在だなんて。
剣ちゃんはね。旅の途中だった。
危ない旅だったし、あたしがお荷物だったのは間違いない。
でもね。連れてってくれたの。
・・・どんな時でも。
・・・どんなに危険な時でも。
・・・嬉しかった。
・・・だって・・・・剣ちゃんの傍にいられるんだもん。
剣ちゃんが十一番隊の隊長になるって決めた時から、あたしの目標は十一番隊の副隊長になることになった。
あなたの傍にいること。
・・・それが私の望みだから。
だから、副隊長の席は誰にも渡さない。
誰かが、あたしよりも剣ちゃんの傍にいることを許されるなんて、絶対に許さない。・・そう・・絶対に。
剣ちゃんの一番傍には、私がいるの。
どんな時でも。
だからそのためには、どんな事をしても強くなる。
あなたの傍にいるに、ふさわしいように。
でも、大人にはなりたくない。
・・だって、大人になったら・・今みたいには出来ないでしょ?
「剣ちゃ〜〜ん!!」て飛びついたり、甘えたり出来なくなる。
寂しい時に、一緒に寝てくれないでしょ?
そんなのはいや。
そんなの・・怖い・・・。
だからいつまでも子供でいたい。
ううん、ちがう。
あたしは子供でいるの。絶対に。
絵本で見たんだ。
いつまででも子供でいられる世界。
ネバーランドっていうんだって。
だから、あたしはそこの住人になる。
あたしのところだけはネバーランドなの。
ねえ、剣ちゃん。
お願い。どんな時でも連れて行ってね?
あなたはあたしの全てだから。
あたしを一人にしないでね?
だから、あたしは子供でいるの。
あなたがあたしを放っておけないように。
あたしはネバーランドの住人。
・・・・あなたの傍にいられるならば・・・
あたしは・・・時の支配からさえも逃れてみせる。
なんちゃって。