俺は試験管ナンカジャナイ(アーロニーロ・アルルエリ)
十刃N0.9アーロニーロ・アルルエリ。
<彼ら>は例え仲間の十刃の前とはいえ、仮の仮面を外さない。
真の姿を絶対に表にしようとはしないのである。
なぜなら・・・
<彼ら>は恐れていた。
ある人物を恐れていたのである。
言っておくがその人物は藍染惣右介のことではない。
いや、当然藍染様も怖いけど、もっと怖い人物が存在するのである。
その人物は仲間の十刃たちにも大体は嫌われている存在だ。
会合のときは致し方ないが、出来れば出来得る限り会いたくない存在である。
なるべく会わないようにしていても・・・向こうはフラリとやってくる。
「おや?アーロニーロ君やない。
しばらく会わんかったなあ。久しぶりやねえ。」
・・・やばい・・・。
遭遇シチャッタ〜〜!!
<彼ら>が会いたくない存在に・・・遭遇してしまったようだ・・。
むろん、その人物とは・・市丸ギンそのお人である。
「・・・・。
久しぶりです。」
「なんや、急に君の顔が見となってなあ。」
「…俺の・・顔ですか?」
「そうそう。」
「別ニ見テ、楽シイトハ思イマセンケド・・・。」
すると、いじめっこギン、ニヤリと笑ってこう言った。
「楽しいよ。ほら。」「あ!ちょっと!」
さっと仮の仮面を取り上げてしまう。
「こないな試験管に入ってる可愛らしい顔が二つもあるんやもん。
見て楽しない筈ないやん。」
ひらひらと、試験管を覗き込みながらそれぞれの顔に挨拶するギン。
もっそい楽しそうだ。
「しかしヘンやねえ。普通一つの肉体に二つのホロウが同居するや、あんまり聞いたことないし。」
・・・イヤ・・余計な御世話なんですけど。
「あ、でも折角試験管の中に入ってるんやし、攪拌したら一つになるかもしれんなあ。」
ちょっ!!それ試験管じゃないし!!
おまけに科学の実験材料ジャナイヨ、僕タチ!!
「ちょっとやってみよか。」
キャ〜〜〜!!!!ヤ〜〜〜メ〜〜〜テ〜〜〜!!
しねえから!!攪拌しても、一つの人格とかならねえから!!
ていうか、イタイ!!お互いが当たってイタイから!!
「う〜〜ん、どうも上手くいかへんねえ〜。」
つうか、絶対分かってやってるだろ、お前。
「しかし、不思議やねえ。
君たちどうやって食事してるん?」
イヤ・・・この状態で、普通にラーメンとか食えるはずなくね?
「あ、もしかしてここから頭の部分を外して一つずつ食べてるん?」
そこ首の部分だから!!て、なに回してんの?!!何回してんの〜〜?!!!
「試験管思てたけど、こういうの見たらグロー球みたいやねえ。」
グロー球って、俺達光らねえし!!
って死ぬ!!外されると僕タチ死ンジャウ〜〜〜〜!
「や・・・!!止メテクダサイ〜〜!!!」
イ〜〜〜ヤ〜〜〜〜〜!!!!
「・・・て、冗談や。冗談。」
ピタリと回す手が止まる。
「ゴメン、ゴメン。あんまり可愛い顔がふたつもあるんで、ちょっと意地悪しとなってもうた。」
それちょっとなんかじゃナ〜〜〜イ!!!
「お詫びに、今度新しい試験管持ってくるわな?
キミたちに似合いそうな可愛らしいやつ。
ほな。」
二度と来ないで〜〜〜〜!!
・・・かくして、虚夜宮のイジメキングは一応去りぬ。
ほうほうの体で自宮にたどりついたアーロニーロ・・・。
「やっぱ・・・暗闇って落ち着くな・・・。」
「ウン・・・座布団出ソウヨ。」
「そだな。」
↑
以上、すべて独り言。(爆笑)
暫しの安息を手に入れるも・・・・・
後日新たな襲撃を受けることになる。
「アーロニーロくん〜〜〜!!
エエの持ってきたで〜〜〜!!!
ホラ、これ可愛い思わへん?」
シャンデリア球/クリア 25W・口金E12
そんな割れやすそうなもんに変えられるか〜〜〜〜!!!!
しかも、めっちゃ中身クリアだし!!!
デモ何気ニ御洒落ジャナイ?!!!
アーロニーロ・アルルエリ。
しばらくは暗黒の自宮で座布団の上で膝小僧を抱えるハメになりそうだ・・・。
とりあえずは・・・・・がんばれ。
なんちゃって。