プライド(藍染惣右介)

・・・知っているかい?
プライドというのは・・・過去に裏打ちされなければ、持ちえないものだということを・・。

この世にはありとあらゆるプライドがある。

ある者は美しい外見にプライドを感じる者がいるし、強さに感じる者も居る。
生み出す芸術にそのプライドを持つ者もいるし、優秀な頭脳にプライドを持つ者もいるだろう。
そして、誰にも賞賛を受けないながらも、自分の進むべき道を黙々と進む事にプライドを持つ者。
中には、自ら勝ち取ったわけでもない社会的な身分にそのプライドを持つ者もいるはずだ。


実に多様だとは思わないかい?そして、それらは確かにその者たちにとってはプライドだ。
決して間違いではない。

それらにはある共通点がある。
過去に成功もしくは、賞賛を収めた経験があるか、もしくは成功とは言えないが持続させると言う経験が存在するという点だ。


人は過去の裏打ちが在って初めて今の自分にプライドを持てる。
そして、それを拠り所にしているはずだ。


・・・私かい・・?
私は、生憎そういう意味でのプライドは持っていない。

・・おや?意外だったかな。
でも嘘じゃない。

・・・何故なら・・・・私にとって過ぎ去った過去などあまり意味の無いものだからね。

・・過去などに興味は無いよ。私が興味のあるのは・・『未来』だ・・。

無論、全く意味が無いわけじゃない。
研究は過去の実証がなければ、進まないし、データとしての過去は必要だ。
傾向を知るのは無論過去のデータからだしね。


だが、それらは全て未来のために存在する。
今までの領域を取り払った新しい未来のために。


運命の輪は回転すると言われているね?
確かにそう言えなくも無い。確かに回転していると言えるだろう。
同じような歴史が繰り返され、争いと僅かな平和が円を描いて回っている。

しかし、同じ場所で回っているわけではない。時とともに回る場所は移動していくものだ。
時ともに、歯車の性質、そして回る進行方向は変わっている。
例えば、つい2000年前の戦争が剣や槍などの武器が主流だったのに対して、今はボタン一つで発射されるミサイルと言うものに変化している。
その破壊力は人類はおろか、大地までも破壊してしまうものも在る。無論この状態で、2000年前と同じ戦いが出来るはずが無い。
基本的に人間の戦いは領土の争奪だ。汚染した領土を奪い取っても意味が無いからね。

つまり・・運命の輪は普遍に同じ回転をしているわけではないと言う事だ。
ならば・・人為的に運命の回転を変えるということが、全くの不可能だと君は思うかい?

今・・運命の輪は実に下らない場所で回転を続けている。
・・そう、実に下らない場所で。


・・・それを私が変えて見せよう。
・・・無限の可能性を持つ新たな存在として。

・・・初めてこの天に立つ存在として。


私にとってのプライドは未来にこそ存在する。


・・ああ、聞いていなかったね、君の事を。
・・君のプライドは何かな?

特に無くても構わないよ。恥ずかしい事ではない。
そんなに緊張する必要も無いよ。不安を感じる必要も無い。

・・・おいで、疲れた顔をしているね。
・・・怖がらなくてもいい。


・・私に甘えたくはないかい・・?


頭を優しく撫でてあげよう・・・君の緊張が解けるまで。

私の声は好きかな?ならば囁いてあげよう・・・・君の耳に馴染むまで。

誰かに支えられるのは悪い事ではないよ・・・・・君の背中を支えていてあげよう。


・・・さあ・・・来なさい・・・。




・・・私の『匂い』を・・私の『体温』を・・・確かめたくはないかい・・?




・・・心配する事は無い。


・・・・これからは・・私の傍に居る事こそが・・


・・・・君の『プライド』になるだろう。







なんちゃって。

inserted by FC2 system