プライド(浦原喜助)
・・え?アタシにとっての大事なモノ・・・スか?
・・・そうっスねぇ・・・・。
あ!ありますよ!・・フフフ・・・知りたいっスか?
・・仕方がありませんねぇ・・・。じゃ・・・ここだけの秘密っスよ?
この前、ある人妻からもらった黒の透ケ透ケ・ランジェリー!!
ああ!!冗談ですよ!冗談!!・・・やれやれ、冗談通じないヒトですねぇ。
・・・大事なモノ・・・か・・・。・・・何なんでしょうねぇ。
どうも、年を取ると難しいことは考えなくなってきましてねぇ。
・・アタシの知り合いなんですがね?
大事なものを無制限に増やすヒトがいるんスよ。それで、それを全部護ろうとするんです。
まだ子供ですよ、まだ15・・いや16歳でしたっけ。
アタシみたいな大人からすれば、そんなに必死になる必要なんかないと思うんですけどね?
必死になって護ろうとして、必死になって強くなっていきました。
あまりにも無防備でしてねえ。
でもその真っ直ぐな目と心意気に、アタシまでガラにもなく連られてしまいましたっけ。
どこまでも真っ直ぐに突き進んでいく・・か。
いやあ、若いっていいっスねえ〜〜。
でも・・・アタシには出来ませんねぇ、そんな生き方は。
アタシはねぇ、叩けばなんせ幾らでもホコリが出てくる身ですからねぇ。
・・ま、だからこそ尺魂界から追放されたんスけど。
・・・でも・・「あんな事」はアタシのほんの一部ですからねえ。
なんせ、いつもギリギリの所ばかりを行ったり来たりしてましたから。
けど、追放されたことで、アタシは心を決めました。
『アタシは表に出るべきヒトなんかじゃあない』
アタシはね・・・影で生きていくべきヒトなんスよ。
そんなヒトが、「大事なもの」なんてそうそう持つべきじゃあ無い。
いつまた追われるかもしれないんスからねえ。
でも、もしうっかりそんな「大事なもの」が出来ちゃった時は、仕方がありませんけどね?
でもその時は知られないようにしなきゃ。
他人にも・・そしてその「大事なもの」自身にも。
アタシのせいで、その「大事なもの」にまで迷惑かけるわけに行きませんからねえ。
・・・知られては「負け」なんスよ。
だから、アタシは何時でも掴みどころの無い男じゃなくちゃあいけません。
捕まえようとしても、スルリと逃げられる様な。
・・・だから、アタシは『アナタ』に必要以上には関われません。
助けが欲しいなら手をお貸ししましょう。
快楽が欲しいなら、望む快楽を差し上げましょう。
でも、「用事」が終わればアタシは『アナタ』からは離れます。
・・・大人になると、誤魔化すのは上手くなる。
恐らく、『アナタ』にも周囲にもアタシが『アナタ』をからかっている様にしか見えない筈だ。
・・そう、それでいいんスよ。
・・アタシがアナタを、見ていないようで見守っている事なんて・・・
・・・誰にも知られちゃいけませんからねぇ・・。
・・昔アタシに「お前はプライドが無いやつだ。」って言ったヒトがいましたっけ。
・・・馬鹿言っちゃいけませんよ。
プライドを持つって事は・・・大事なものが何なのか言いふらすことに等しい。
・・アタシみたいなのには、向きませんねえ。
あ、でもありましたよ?プライドが。
「ハンサムエロ店主で居続けること。」
・・どうです?実践中だとは思いませんか?
なんちゃって。