三番隊のお昼ご飯。(ギンとイヅル)
ある晴れた昼どき。
そろそろ昼食の時間となったときでございます。
三番隊執務室でもお昼の話題となりました。
「イヅル。丁度昼時や。ここらで昼食べにいかへん?」
副隊長を誘いしはご存知、隊長の市丸ギン。
「はい。お供させていただきます。」
どんなに、難しい仕事の真っ最中でも、上司のお召しがあれば、切り上げる副隊長の吉良イヅル。
「食堂に行かれますか?」
そう。護廷十三隊では当然ながら食堂がございます。
忙しい時はここで食事を取るのが多いのですが、ギンはあまり隊の食堂は好きではありません。
「ご飯食べる時まで、死神の顔ばっか見とないわ。外で食べよ?」
一応、副隊長以上になりますと、別フロアーにてゆっくり食べられるんですけどねえ〜〜。
「何を召し上がれますか?」
「饂飩。」
これを聞いて、イヅルはちょっとホッとしました。
彼は胃腸が強くありません。
あんまり脂っこいものを食べると胃もたれしてしまうのです。
そして、一軒の店に入るご両人さん。
中には鰹節のいい香りが致します。
セルロイドで作られたメニューには色々な饂飩がならんでいます。
「何になさいますか?」
メニューの正面を隊長のほうへ向けながら、イヅルが尋ねます。
「やっぱこれやろ、キツネうどん。」
『うっ!!』イヅルは少し困りました。
ここは笑うところなのか?と自問自答いたします。
「キツネうどんですか・・。」
様子を伺うイヅル君。
「そうや。ボクらしいやろ?」
ニヤリと笑うギン隊長。そういわれてしまうと、ますますキツネに見えてきます。
『やはりここは笑うところなのか?笑いにはタイミングが重要だと阿散井君に聞いたことがある。
逃すと失礼に当たるぞ!
どうする?どうすればいい?どうすればいいんだ!!』
・・・イヅル君。
今日も悩みは無限のようです。
「イヅルは?何にすんのん?」
話を変えられて、ほっとするイヅル君。
しかし、先ほどの葛藤で、最早食欲はありません。
「僕は・・。」
「しゃあないなあ。ボクが決めたるわ。
あ、御ねえさん、注文頼める?
ボク、キツネうどん。そっちには山かけうどんな?」
「はい。少しお待ちください。」
山かけうどんに勝手に決められたイヅル君。
何故、隊長は山かけうどんに決めたんでしょうねえ。
恐る恐る尋ねます。
「あの・・山かけにされた理由は・・?」
「そやかて、イヅルには精をつけてもらわへんと。
ボクの為に。そやろ?」
『精をつけるって・・。
隊長の為に精をつけるって・・・!!?
一体何事〜〜〜?!!←(そんな深く考えんでも)(笑)
これってもしかして、セクハラなのか?
いや、隊長に限ってそんなことをなさるはずはない!
いやでも〜〜〜!!』
・・・悩みは無限。
昼ごはんだけで、その境地に達している副官を見て、市丸隊長はこう思っておりました。
『ホンマ。いじめがいがあるなあ〜〜。厭きんわ〜〜。
あ、でもボクうどんの中では、ホンマにキツネうどんが一番好きなんやで?』
独特のあの笑いをさらに独特にしながら、市丸隊長は上機嫌でございました。
なんちゃって。