障壁(四楓院夜一)

・・のう、おぬし生きておると何かと障壁にぶつかることはないかの?


何?わしのように自由に生きておれば、なさそうじゃと?莫迦にするでないわ。
ちゃんとわしにも障壁はある。数え切れないほどあったとも。

まずは、性別の障壁じゃ。
わしの好きな露天風呂は、女風呂よりも男のほうが眺めがいいのが多いものじゃとは思ったことはないかの?
わしはそれが気に入らんのじゃ。
もちろん、戦士としても無条件で男のほうが優れているというのにも、気に入らなんだ。

だから、性別を超えてやったのじゃ。
戦士としてならば、優劣がハッキリするでのう。造作もないことじゃ。
風呂のほうは面白かったぞ?
男風呂にわしが入って行くとのう・・向こうのほうが慌てて風呂を出て行くのじゃ。
前を隠して、立ち去る様は何回見ても楽しいものじゃ。

普段女子の肌と見たいと思っておるはずなのに、面白かろ?

四大貴族に生まれておる以上は、なかなか難しい事が多くてのう。
わずらわしいので、捨ててやった。
白哉坊は捨てるという事など、考えた事はないだろうが、わしからすればつまらぬ枷にしかすぎんぬ。

だから、脱走してやったのじゃ。あれは爽快だったのう。
きっかけは喜助の追放ではあるが、わしも姿を眩ませるとなると、喜助のほうも面倒になるであろ?
だから、人型ではなく、思いもかけぬ姿になるようにした。

思いつきは猫じゃ。自由に思うところ思うところに行く事が出来る猫。
究極の自由じゃ。


老いという障壁もある。
おぬしはピチピチの肌のほうが好きであろ?わしもじゃ。
だから、年を極限まで取らぬようにせねばのう・・。

障壁を超えると言う事は、越える前の己の全てを超える覚悟でなくてはならぬ。
中途半端は一番良くないものじゃ。
そのために、何か大事なものを捨て去らくてはならぬときもある。


それを惜しんでいては、己の行きたい世界は掴めぬぞ?
行きたい世界に行くためには、当然リスクがあるものじゃ。

壁をムリに壊すことはない。
乗り越えればよいのじゃ。

超えられぬと思う障壁も、見方を変えれば、そうでないと見えるときもある。

一度、開放してやることじゃ。
自らの本音を・・本能をのう・・・。

わしの誕生日は元旦じゃ。
全てのものは生まれ変わったものと特別な参りである。


壁を全て壊して進まなくとも良いのじゃ。
ヒョイと乗り越えればいいだけじゃしのう〜〜。


壁を壊す事ばかりが能ではないわ。
お前の中の壁は、おぬしを苦しめていると共に、お主をお主たらしめているという、役割もあるのでのう。


わしのために四楓院がどのような事になっているか、分からぬまでもない。


それゆへ、腹を据えねばならぬ。

腹を据えて超えるのじゃ。


それが出来るものだけが、新たな世界を見ることが出来・・そして新たな業を背負う事になるものなのじゃ。
超えるもよし、壊すもよし。はたまた超えぬのもよし。



全てはおぬしがどうありたいかじゃ。


それにより進み方も変わるものでのう・・・。
障壁に当るときがおぬしの本当の姿が見えるときでもある。

それゆえ、そう悪いものではないぞ?

障壁というものはのう・・。
わしは好きじゃ。

わしらしく生きるとはどういうことか・・。
考える機会になるのでのう・・・。

決める道はそれぞれ。しかし、決めねばならぬ者は己のみじゃ。


心してかかるがよいぞ?そして楽しむのじゃ。

己の人生をのう・・・。


年が明けたのう。新たな年は新たなわしとの出会いの年でもある。

今年のわしがどうあるのかは・・わし自身が決めるのじゃ。


年は楽しくとりたいものじゃのう・・・。






なんちゃって。

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