力を求むる者(日番谷冬獅郎)

・・・・力が欲しい。


・・・・他にはなにもいらねえ・・・。


ただ・・・・力が欲しい。




俺は、雛森が目覚めることを望んでいた。
そして同時に危惧していた。

あいつが・・・『真実』を受け入れられるのかどうかを。
・・どこかで恐れていた。

『最悪の状態』があることは覚悟していた。
仮にも隊長を張っている身だ。それくらいのことは当然だからだ。

だが・・・目覚めた雛森は・・・。
俺の想定していた『最悪の状態』よりも更に悪いものだった。

雛森はああ見えて、強い奴だ。
藍染がいない以上、五番隊を任せられるのは雛森だ。
ショックは大きいかもしれないが、自分が負う責任を感じれば、フラつきながらも立ってくれるだろう。
俺はどこかでそう期待していた。

だが、現実は・・・。
俺の見た現実は、藍染をなんとか弁護しようと必死になっている雛森だった。
あろうことか・・藍染を助けて欲しいと言いやがった。

藍染が何をやったか、知っていてそれを言うのか・・?
藍染が何人殺したか、知っていてそれを言うのか・・?!
藍染の奴が、何人の信頼を裏切ったか知っていて・・・


藍染は、お前を殺そうとしたんだぞ?!!


藍染を庇う雛森の目は、正常なものではなかった。
・・目の焦点が・・合ってねえ・・。

雛森は山本総隊長の手で、気を失った。

・・・総隊長には感謝している。
でなきゃ・・俺は雛森に何を言ったか分からねえ・・。
今の雛森を糾弾したところで・・何の解決にもならねえからな・・。


・・・藍染。

てめえは、こうなることを予見して雛森を傍においてやがったのか・・・。

完璧な善人の面をしながら・・・

雛森を・・・・。


・・楽しかったか?藍染。

だが・・・てめえの時間はあと4ヶ月だ。


てめえは・・・てめえだけは俺が倒す!!




・・力が欲しい。

藍染を倒すだけの力が。

藍染が生きている限り、雛森にかかった呪縛は取れないだろう。

・・・他にはなにもいらねえんだ。

雛森がああなったのは、俺の責任でもある。


たとえ何を失ったとしても・・・。


・・・俺は力を手に入れる。




・・・藍染を倒して、雛森が元に戻るという確証はねえ。
・・・更に悪い状況になるかもしれねえ。



だがこれだけは譲れねえんだ・・。




藍染は俺が殺す。


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