ウィンナーの晩餐(檜佐木修兵)

・・食卓に出来上がったばかりの料理が並んでいる。

豚肉の代わりにウィンナーを使った酢豚。
ウィンナーを使ったシーザーサラダにウィンナー入りのドリア。
無論、ウィンナーが乗っているピザ。
ちなみに、カタカナの料理はすべて、現世に赴いた時に身につけた。
何をしに行ってるんだとかは、どうか言わないでやって欲しい。

そして、何気にお勧めなのが、ウィンナーのフライだ。
そのままだと卵が絡みにくいのでフライには不向きと思われがちだが、ちょいと湿らせて小麦粉を多めにつけた後、卵を絡ませればパン粉は結構簡単に付く。
更にこれを串に刺して、他の食材と一緒に串揚げにすれば、立派な一品として食卓の主役級となる。
ことにビールには合う。

更にオリジナルとして、ウィンナーのベーコン巻も欠かせない。
ウィンナーにベーコンを巻き、端を楊枝で止めて、ベーコンがカリカリになるまで揚げる。
揚がった所を、邪魔にならぬように楊枝を外すのは、心配りというものだ。
これも、揚げたてをつまみながら飲むビールはたまらない。

仕上げは、これまた肉の代わりにウィンナーを使った焼きそばだ。
酒を飲むときに喰う焼きそばは、魔法がかかっているかのように旨い。

「・・出来た・・・。
ウィンナーパーティの始まりだ・!」

本日の料理長、九番隊副隊長、檜佐木修兵。
本日の晩餐の主役、同じく檜佐木修兵。
本日の列席者、・・・・無し。(残念)

あれほど、瀞霊廷通信にしつこいほど、大きな文字で告知された修兵の誕生日は・・・。

・・・見事なまでに皆にスルーされていた・・・。(笑)
(一部にやり過ぎて、返ってやりにくくなったとの意見も)

しかし、それでショゲる修兵ではない。
それならと、自分の好きなウィンナーで料理を作りまくって祝う事にしたのである。
『誰も祝ってくれなくとも、俺は祝ってやるぜ!!俺の・・誕生日を・!!』

でもちょっと涙交じり(笑)。

修兵の好物、ウィンナー。
巷にはソーセージだのフランクフルトだの色々な類似品で溢れているが、あくまで修兵が好きなのはウィンナーである。

通称ウィンナー。正式名称、ウィンナー・ソーセージ。
ひき肉を皮に詰めた物の総称をソーセージと言う。
その中の一部にウィンナー・ソーセージが存在する。

一般的には羊の腸に詰めれば、ウィンナーソーセージ、豚の腸に詰めればフランクフルト、牛の腸に詰めればボロニア・ソーセージとか言われているが、修兵が好きなのはそんなウィンナー・ソーセージではない。

人工の皮で作られたウィンナー・ソーセージこそが修兵の愛する正しいウィンナーなのである。
同じ人工の皮で作られていても、フランクフルトもあればボロニアもある。
これらを分けるのは太さだ。
20mm未満のウィンナーソーセージ、20mm〜36mm未満のフランクフルトソーセージ、36mm以上のボロニアソーセージという具合と言ったところだろう。

無論、この20mm未満が愛されているのである。
色も一体どうやったらこんなに不健康な色になるんだろうと思われる、情熱の赤。(爆笑)
ピンク色だの、ベージュ色だのは修兵から言わせるとただの邪道だ。

「くそう!今日は呑んでやる!!明日使い物にならねえくらい呑んでやる!!」
無駄なやる気を見せてビールを呑もうとした矢先に、来客があった。

「なんじゃい、もう始めとるんか。
折角わしが酒もってきてやったのに。」
「い・・・射場さん・!!」
「なんじゃい!そのシケた面は。
まあ、お前も男性死神協会の一員じゃけえのう。祝いに来たったわ。」
「まあ・・私もその会長に強引に・・って嘘ですよ!ハイ!自ら進んで参りました!そうですよね?!会長!」
「そうじゃい。漢いうんは、仲間を大事にするもんじゃけえ。」
「伊江村さん!!(無理に来なくても!)」

「修兵〜〜!来てあげたわよ〜〜!!何コレ、ソーセージばっかじゃん。」
「乱菊さんっvv!!」

「何だ?この安っぽい色のウィンナーは!!
こんなインチキくせえモノ初めて見たぜ!!体壊すんじゃねえのか?
これだから、貧乏な平民は!
ホレ!寿司だ!お前の大好きなウニばっか持って来てやったぜ!」

「・・・この野郎・・!!俺が嫌いなの知って・・!!
つうか、魚嫌いだろ!お前!!」
「だから、松阪牛の握りもちゃんと持って来てる。チャンピョン牛だぜ〜〜?
平民のお前には、まあ一生縁がねえだろうな。」
「大前田ったら流石〜〜!!!
あたし、久々よ〜〜!ウニも!!牛の握りも〜〜!」
「へっ、所詮女は金に弱いもんよ。
なあ?平民?」

「てめえ〜〜!!!俺の誕生日にわざわざ嫌がらせに来たのかよ〜〜!」
「何、俺の誕生日の時にも呼んでやっただろ?だからお前の時にも来てやったんだよ。」

「まあまあ、大前田。
修兵〜〜、でもこれじゃ料理足りないわよ?七緒とかネムとか手が空けば後で来るって言ってたし。
まあ、やちるは絶対来るわね。」

「はい!!乱菊さん!俺、頑張ります!!」←主役なのに?
「待てい!その前に乾杯じゃい。ホレ注がんかい!

皆酒はあるか?ほな乾杯!!!」


・・・一人で始まったソーセージの晩餐は・・・。

どうやら大勢で締めくくることになりそうである。




お誕生日おめでとう、修兵。




なんちゃって。


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