虚圏の書道教室(十刃有志の会)

それは、東仙のある一言から始まった。

「・・藍染様。私は常々思っていたのですが、どうにも十刃たちには精神の落ち着きが足りないのではないでしょうか。」
「・・なるほど。君の言っていることは解るよ。」
「反抗的な態度をいつまでも改めない者もおりますし、精神を落ち着かせる鍛錬が必要かと思われます。」
「それで、君はどうしたいと思っているのかな?」
「藍染様のお手を煩わせてもうしわけないのですが、書道教室をお開きになられてはいかがかと。
書は精神の鍛錬にもなりますし、藍染様が自らお教えになるとすれば彼らも真剣に学ぼうとするはずです。」
「・・なるほど。」
「いかがでしょうか。」
どうやら東仙は真剣に書道教室を開いてほしいと思っているようだった。

「いいだろう。やってみてもいいよ。だが、あまり効果は期待できないと思うが。」

そして・・・
書道教室が開かれた。
参加メンバーは強制的に東仙に連行されたグリムジョーと、自ら参加したハリベル、ウルキオラ、ザエルアポロ、そしてアーロニーロだ。
後のメンバーは不参加。つまりサボリである。藍染は参加を有志としたので、参加せずとも罪を問われるものではない。

・・もっとも・・・グリムジョーは別だが。
藍染からは難しい指示は無かった。
「特に堅苦しく考える必要は無いよ。
自分の心に浮かんだことを、紙に書けばいい。
巧く書こうと思う必要は無い。ただ、真剣に筆を使えばそれでいい。

・・・いいね?」

大体、最初はだれしも真面目な事を書く。
グリムジョー作:「豹王」
ハリベル作:「忍」
ウルキオラ作:「沈黙」
ザエルアポロ作:「天才科学者」
アーロニーロ作:「無限の進化」


藍染は基本的にいいところを褒めるだけだ。その際簡単な指導を入れる程度である。
これで受講生たちは大体の流れがつかめた。
そうすると、徐々にお遊びが侵食してくる。
藍染は書くことには真剣にと指示を与えているが、書く内容においては特段の指示を与えていない。

2作目・・。。
グリムジョー作:「俺のガタイに酔いな」
ハリベル作:「下から攻める」←
ウルキオラ作:「ツンデレは萌を征す」
ザエルアポロ作:「僕の背中のラインはセクシーだろう?」←(笑)
アーロニーロ作:「日の光の下でもイケメンでいたい」

・・・かなり崩れてきたようだ。
さらには3作目・・・文字数が多い者は細筆に移行。
グリムジョー作:「萌ってぇのは猫耳に肉球に決まってっだろうが!」
ハリベル作:「腕組みでさらに寄せる」←
ウルキオラ作:「所詮小柄のツンデレキャラには勝てん」
ザエルアポロ作:「毎日鏡の前でイケてるポーズを研究中」
アーロニーロ作:「虚以外ノ餌ヲ与エナイデクダサイ」

そして、最終作・・・

グリムジョー作:「人気投票結果、てめえにゃ負けねえぜ、ウルキオラ!」
ハリベル作:「修正は覚悟の上」←男前
ウルキオラ作:「くだらん。」←何気に会話してるし
ザエルアポロ作:「淫乱ぶってるけど、ホントはウブでね。意外だろう?」
アーロニーロ作:「・・・友達欲シイ」


実に真剣に書に向かう受講生たち。
この意味では成功と言えなくもない。

そして、藍染は自らも筆をとる。
「有象無象」

・・意味は、<数ばかり多くて役に立たない物や人々>。


・・・・予想外に受講生からも好評だったのだが、藍染の多忙を理由に第二回目の書道教室が開かれるという目処はないらしい。

どうやら藍染、虚圏にわたっても書道の講師としての評価は高かったようである。




なんちゃって。

inserted by FC2 system