ワカメ大使の謎(朽木白哉)
「天賦の才」と言う言葉がある。
・・・・・生まれつき、備わった才能。
当然ながら、その才は他者とは隔絶された物でなくてはならない。
この言葉が最も似合う男・・・・。
それが朽木白哉である。
人々はその才を賞賛し、なんとかその恩恵にあずかろうとするものだ。
特に商品を売る者にとっては、「朽木白哉」の名がどうしても欲しい。
「朽木」印がついただけで、特に女性の購入意欲の高上は計り知れないものがあるからだ。
ゆえに、兄様は隊長以外にもいろいろな役職に就いている。
一味の更なる普及と利用促進を応援する、「一味大使」。
七味の更なる普及と利用促進を応援する、「七味大使」。←「一味大使」とどう違うのかは不明。
タバスコの更なる普及と利用促進を応援する、「タバスコ大使」。
スパイスの更なる普及と利用促進を応援する、「スパイス大使」。
ちくわの更なる食文化への普及を応援する、「ちくわ大使」。
シスコンの社会的地位の更なる向上を応援する、「シスコン大使」。
手甲の更なる普及と利用促進を応援する、「手甲大使」。
襟巻きの更なる普及と利用促進を応援する、「襟巻きキング←?」。
・・・数を数えればキリがないのだ・・・。
しかし、依頼は続々とやってくる。
兄様は不在のことが多い。
しかし、依頼は不在中にも舞い込んでくる。
不在中の依頼は一時預かりとして留め置かれる。
兄様は記憶力がいいので、一度来た依頼については全て覚えている。
そんな中・・・。
第一回、海浜芸術会が行われた・・。
モチーフは自由。
兄様は考えた。「・・・何を造形すべきか・・。」
折しもここは海岸。
となれば、やはり海のものを造形するのが、最も適切だと考える。
「・・・海のもの・・・何がよかろうか・・。」
豊かな脳内の記憶領域を旅する兄様。
ある依頼を思い出した。
「『ワカメ大使』になっていただけないでしょうか。
最近の人々は海藻類を食する事が以前に比べ、極端に減っております。
低カロリーで栄養豊富なワカメを、是非とももっと見直してもらいたいのです。」
依頼内容は実に最もなものだ。
・・しかし、自らに「ワカメ大使」というのは、いささか外していると思われた。
いや・・・私ではなく、新たなキャラクターにその任を負わせると言うのはどうだろうか・・。
現世では「ゆるキャラ」なる、地元の人間にも知られていないようなキャラクターが各地で、多数存在すると言われている。
ならば、「ワカメ大使」なるキャラクターが存在してもおかしくはない。
海草を食さぬ世代は、特に若輩を中心とした若い世代だ。
となれば、新たなキャラクターは、その世代に受け入れられるものでなくてはならぬ。
「若輩」に受け入れられる存在・・・。
隣で狸もどきを必死で作ろうとする妹はまだその圏内にいる。
「ルキアに受け入れられるキャラクター・・・。」
ドドドドドド!!!
(霊圧の高まり!!)
唸れ!!シスコン魂!!(笑)
活性せよ!!右脳の創作領域!!(ホンマに活性させそうで怖いな・)
今こそ、天賦の才を見せる時だ!!
ゴーゴー!!兄様!!
カモン!!ゴッドハンド!!
「研ぎ澄まされた美的感覚(ルキア談)」が唸りを上げる!!
当然ながら、兄様は美術の成績も優秀だ!!
砂の性質もなんのその!!
ありえない構図だってラクラククリアーさ!!
そして・・・・
ワカメ大使は完成した・・・。
しかし、肝心の依頼主には届かなかった・・。
何故なら・・・ルキアが「欲しそう」な顔をしたため、お持ち帰りになったからだ。
朽木邸には、新たに樹脂加工された「ワカメ大使」が鎮座している。
美しく整えられた日本庭園に異彩を放ちまくっているが、「研ぎ澄まされた美的感覚」を共有する者たちにとっては、うつくしき夏の思い出の一作品である。
なんちゃって。