弓親の野望(綾瀬川弓親)

・・・僕にはね・・・ある夢があるのさ・・。
フフフ・・知りたいかい?この美しい僕の夢を。

では君だけには教えてあげよう。


僕の夢はね・・・。

童話の主人公になることなのさ!!
誰だい?!!
いま「ちっちゃ!」とか言ったのは!!
君たちは良く分かっていないようだがねえ・・・。

この美のイデオロギーに満ち溢れた僕にこそ、童話の主人公にふさわしいじゃないか!!
この適度に筋肉のついた体!!
サラサラヘアーの黒髪!!
何よりも美しいこの顔!!

神に愛されて生まれるとは僕のようなことを言うのさ!

そうだね。
どんな童話がいいかな。

やはり中世の王子様あたりがふさわしいだろう。

豊かな王国の王子として生まれた僕は、その美しさで王国中の民から愛されていた。
幸せな日々を送る僕。

しかし、そんなこの僕のことを良く思わない者がいたんだ。
隣の国の王だった。
怪しげな魔術を使い、暗黒政治を強いていたその王は、身の程をわきまえずにも、自分がこの世で美しいと信じていた。
真実を告げるという魔法の鏡で、毎日毎晩聞いているんだ。
「・・この世で一番美しい者は、誰かな。言ってみてくれないかい?」←誰よ!!(笑)

最初は、その王の事を言っていたその鏡は、ある日を境に成長した僕が一番美しいと告げ始めるようになる。
遅い反応だ!
たとえ、子供であっても美しいには限らないのに・・まったく・・魔法の鏡は・・!!(ここで爪をかむ)(笑)

まあ、いい。
それに怒った隣国の王は、この僕を殺そうと画策したのだ。

善良なメガネをかけたさえない医者になりすまし、
「僕は、形成外科を担当しているんですが、髪の美しさも当然治療の対象になると考えているんです。
それで、このブラシを開発しました。
これで髪をとくと、髪につやが出て、よりサラサラになるんですが・・。
美しいそこの貴方。一つ使ってみませんか?」

言葉巧みに僕にブラシを差し出した。

「・・ふん。この美しい僕に更に美しくなって欲しいとは、見所のある奴だ。
いいだろう。ためしてやる。」
心広く受け取る僕に悲劇が起こる!!

なんと、ブラシには針が仕込んであり、針が刺さると毒で死んでしまうというものだったのだ。


僕はあえなく床に倒れる。
7人の小姓(笑)たちは、僕のためにガラスの棺を作り、僕を安置した。
そして涙に暮れるのだ!!そう!この美しい僕の死を悼んで!!

この美しい僕を目覚めさせる事の出来るのは、同じく美しい者の接吻あるのみ!!
7人の小姓が審判だ。
彼らが全員OKを出さない限りは、僕に触れる事などできない!!

僕は美しいものが好きだ。
だから接吻する者が、ムリに女性である必要は無い。

しかし、この僕より美しくあっては断然ならない!!←ここ重要だよ!!良くチェックしておきたまえ!


我先にと競い合う者たち。
フフフ・・分かるよ。この僕に触れることが出来る権利だからね。

さあ・・誰にその権利を与えようか・・。

そんな時だ・・。

「おい!弓親!!」
列を蹴散らして棺の前に来たのは、スキンヘッドの男だ。
立ちはだかった、小姓たちをあっという間に投げてしまった。

重いガラスの棺の扉を開けて一言。

「何やってんだよ。寝てる場合じゃねえぜ?
今、俺らの担当地域で、結構強えホロウが暴れてるらしいぜ?

面白そうだろ?俺は行くけど、お前まだ遊んでるか?」

「行くよ!寝てるのも、ちょうど飽きてきた所だからね!」←自分で作ってるのに?

やはり、男は戦わなくては。


美しい者は特に!!


・・って、なんか最初考えていたのとは、大分違う展開のような気もするけど・・最初どうオチ付けようと思ってたんだっけ?

・・・・。忘れたな。

まあいい。今日はこれくらいにしておいてあげるよ。
何時でも変更は聞くものだからね。



真理は一つだ。
この世は・・この美しい僕の為にあるのだから・・!←言い切ったな、コレ。






なんちゃって。

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