女性死神協会の秘密(やちると七緒

・・・女性死神協会。

女性死神の、女性の死神による、女性死神のための協会だ。
女性死神のより良い職場環境を目指すべく、活動するのが協会の目的である。

・・華やかなイメージが持たれる女性死神協会だが、その内情は火の車だ。
もう少し分かりやすく言うと、お財布の中がすっからかんなのである。


何故、そんなことになってしまっているのか・・・。

確かに会長の草鹿やちるの影響は大きいだろう。
彼女の辞書に経済観念の文字はない。

しかし、副会長である、伊勢七緒は別だ。
八番隊副隊長、伊勢七緒。
別名「パーフェクト・セクレタリー(完璧な秘書)」

会計処理から議事案作成まで完璧な仕事をする彼女がついていて何故・・・。


・・・実は・・・。
彼女にも秘密があったのである・・。


「な〜〜なおちゃん!!お小遣いちょうだい!!」
今日もやちるの、おねだり攻撃がある。
お小遣いというのは、当然協会の金のことだ。

「いけません。前も会長の出世払いとか何とかでお借りになったじゃありませんか。
そちらのほうを返していただかないと、次をお貸しすることは出来ません!」

七緒は今日もたしなめる。

「え〜〜?いいじゃん!ちょっとくらい〜〜。
七緒ちゃんのけちんぼ!!」
「けちんぼで結構です!全く少しは会長も現在の協会の経営状況について考えて頂きたいですわ?」
「やちる、難しいこと分かんないもん!」

この辺の会話も何時ものことだ。
「とにかく駄目です、よろしいですね?」

七緒の完全勝利かと思われたその時・・・。

「あ〜〜あ。ちょっと貸してくれたら、うちの十一番隊の男性写真集『男盛』無修正ノーカット版を七緒ちゃんにあげようと思ったのにな〜〜〜。」

・・・ピクリ。

その途端、口を閉ざす七緒。
「え・・?男性写真集『男盛』無修正ノーカット版・・?」
すかさずメガネを片手で直して聞き返す七緒。
その時メガネがキラリと光る。

「うん。なんかねえ〜〜。うちの裸の男の人がいっぱい写ってるんだ〜〜。
七緒ちゃん、好きかなあ〜〜と思って、持ってきたんだけど〜〜〜。」

「・・・本当に無修正なんですか・・?
一部には全て破棄されたとの噂がありましたが・・・。」←何故か詳しい。
「うん。まんまだよ?
版元から持ってきちゃった。(当然無断で)
七緒ちゃん、いる?」

「そ・・それは・・!
(もっそいほしい!喉から手が出るほど!!修正版しか持ってないし!)←七緒の魂の慟哭」

ていうか、買っとるんかい!(笑)

「じゃ、お小遣いちょうだい?」
にっこりと笑って右手を出す七緒。

そして・・・

この勝負、またもや会長の勝ちとなった・・・。


そして・・・


その日の夜だ・・。


業務から今日も疲れた様子で七緒が自室に戻ってきた。

「ああ・・疲れた・・・。」
やちるの我侭に付き合い・・隊の上司である京楽のセクハラを今日もかわして仕事をする彼女は立派だ・・。

「さ・・・今日こそネーム仕上げなきゃ・・・。」

・・・ネーム???

そんな彼女の秘密とは・・・。

実は漫画を描いていることだ・・。
ひそかに同人誌も出している。

ジャンルとしては男性キャラがいっぱい出てくるらしい(笑)。

絵の腕を高めるためには、どうしても実物を見て体の骨格、筋肉の様子を模写し、理解することが不可欠だ。

そのために彼女は剥きの多い野郎の写真集を集めている。
剥きは多いほうがよい。

そのために、男性写真集『男盛』無修正ノーカット版がどうしても欲しかったのだ。
早速開いて見る、七緒。

「う〜〜ん。参考にはなるけど・・・。
ちょっと筋肉つきすぎなのよね〜〜〜。」

七緒のストライクゾーンは実は非常に狭い。

薄幸の美少年から少し育ったくらいまでなのだ。
よって筋肉が付きすぎた体は、いかにも健康そうに見えてしまうので、不満なのである。

もちろん胸毛なんてもっての外だ(笑)。

後ろにはバラが飛ばねばならぬし、出来れば金髪で巻き毛がいい。

よって恋次や修兵などはいい素材ながらも、ストライクゾーンではない。

隊長で言えば、兄さまやギンといったところであろうか。

「う〜〜ん、いいんだけど・・・ちょっと育ちすぎかな〜〜〜。」
・・・かなり狭い。(笑)

「日番谷隊長は流石に子供過ぎるし・・・。ああ!もう少し育ってくれないかしら!

四番隊の山田七席は・・あ〜〜ん、なんか違うのよね〜〜。」

・・・もっそい狭い。(爆笑)

しかし・・・実はいるのだ。
薄幸で、筋肉が付きすぎてなくて、しかも金髪!!
(残念!巻き毛じゃないけど!!)(笑)

そう・・・三番隊副隊長の吉良イヅルである。
個人的に実はものすごいファンなのだ。
普段は隠しているが、副隊長が集まる時には、当然ガン見。
議事録を書いているフリをしながら、実はスケッチを取っている(爆笑)。

こっそり、写真も集めているが、やはり剥きが欲しい。
より画力の高みを目指すために!!(笑)


「いつか私が・・・萌えの天に立つ!!」

今日も睡眠時間を削って、ペンを取る七緒であった・・。
頑張れ、七緒・・。
萌えの高みを目指すがいい・・。

さて・・・

一方会長はというと・・・。

せしめた小遣いで、あるものを建設させていた。

お菓子の家だ。本物。
ちゃんと中に入れるように設計されている。
表札には「女性死神協会会長室」とある。

なんとも子供らしい発想とも思えるが実は奥が深い。
入り口のドアの高さは115センチしかない。(やちるの身長は109センチ)

会長室に呼ばれた者はすべからく、頭をぶつけないように屈み、頭を下げねばならない。
たとえ、シロちゃんといえどもこの会長室に入るためには、頭を下げねばならないのだ。

日本の茶室にはにじり口という入り口がある。
これはどんなに偉い人だろうが、茶室では平等。
そのため茶室に入るために、だれもが頭を下げにじって入ることにより、平等を保つという入り口なのである。

そう。
この部屋は会長以外の者は全て頭を下げさせるという恐るべき部屋なのだ。

兄さまだろうが、山じいだろうがこの部屋に入るためには頭を下げなければならない。
そしてやちるだけは堂々とそのまま入ることが出来るのだ。

「いい?あたしの部屋ではあたしが一番偉いんだから!!」
そんな願いはこめられているのか・・?!

な、なんて奥深い・・!!
お菓子の家に隠された踊るべき野望!!(爆笑)

しかし狛村だけは除外される。

なぜなら狛村はどう体をかがめても、ドアには入らないからだ。
・・身長235センチじゃね・・。



・・・・女性死神協会・。

そこは華やかな印象の裏で、恐るべき陰謀が渦巻く恐るべきところなのである・・・。




なんちゃって。

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