従属官は無数(ザエルアポロ・グランツ)

・・・僕は虚圏最高の研究者だ。

他に、第8十刃(オクターバ・エスパーダ)という称号も持っているけれど、僕にとっては前者の方が大事でね。
戦うことそのものよりも、研究している方が楽しい方だ。

戦う事は、僕にとっては研究をした成果を試す場でしかない。
敵を分析し、弱点を見定め、より効率的に倒すための研究を重ねる。
そして、研究の結果、予測した最低限のこちらの力でその敵が倒れていく姿を見ることと言ったら・・・・・。


・・・たまらないね・・。

予想外に自分の能力を封じられて・・力を出しきれないまま・・・無念のうちに死んで行くあいつ等の歪んだ顔は、僕にとってたまらない愉悦を与えてくれる。
そう・・・それは鳥肌が立つほどの快感だ。

その時ほど、自分が研究をしている醍醐味を感じることは無い。


そして僕はその快感を得るためにまた研究を続けている。

さて、研究するためにはデータがとにかく沢山必要でね?
より多くのデータを得るために、僕は可能な限り録霊虫を放っている。
それだけじゃない。
録霊虫が放てなかった対象が戦って負けた場合は、葬討部隊を使っている。
対象が勝った場合はやらないよ?だって負けた敵にはソソられないだろう?

負けた対象の死体が僕に戦った敵の実力を教えてくれる。
ああ、生きていた時には一応は僕の仲間と言われていたっけ。
だが、僕にとっては生きている仲間より、負けて死んだ死体の方が興味がある。

何せ・・僕の好きに出来るからね。
藍染様の目を気にせず好きに出来るだろう?


研究者にもそれぞれだろうけど、僕の場合は、自分の研究に囲まれて過ごしたいタイプなんだ。
だから、従属官の話があった時、特別に藍染様にお願いした。
普通、従属官は数字持ちの破面から十刃の各自が好きに選んで傍に置く。

だけど、僕はそんなのはイヤでね。僕の傍に誰かが付くなんて、落ち着かないよ。
だったら、選らばなければいいだって?

けど、もったいないじゃないか。
折角の十刃の特権だ。
使わない手は無い。

そこで、僕は藍染様にお願いした。
僕の改造虚たちを藍染様が持つ崩玉の力で破面化して欲しいってね?

全部持って行ったんだ。
いい出来なのも悪いのも全部。
クハハッ!流石の藍染様もその数に少し驚いてたっけ。

「・・・それを全部破面化するのかな?」
「すみません・・・。
みんな・・可愛くて・・。どうしても選べないんです・・。

ご迷惑なのは分かってるんです・・。でも・・でもっ・・僕が作ったこの子たちを捨てることなんて・・・僕には・・・・っ!!

数の制限が無いと聞いて、藍染様のご厚情にお願いするしか・・・っ!!」

・・・お願いするときは泣きそうな顔しなきゃね。
声も体も震わせて。
下からすがる様に見上げるんだ。
藍染様みたいな支配階級のトップにいる人にはそれが一番キクからね。

僕がすがる態度をすればするほど・・・支配欲ってのは満たされるもんだろう?

「・・・いいだろう。やってみよう。」

・・ククク・・・ホラ・・堕ちた・。


「ありがとうございます・・っ!!」

涙の一つもこぼしてやりたいところだけど、流石にそれはやりすぎかな?

藍染様が崩玉を取り出す。
そして、破面化の儀式が始まった。


・・・・何故、僕が改造虚を全部破面化させたか分かるかい?

崩玉のデータを取るためさ。
改造虚のデータは全部僕の頭に入っている。
破面化した後のデータをこれだけ揃えれば、ある程度崩玉の性質及び能力が分かるだろう・・?

・・・・崩玉なんて面白そうなモノ・・・僕が見逃すはずないじゃないか。


ゆくゆくは・・・研究対象は崩玉にさせてもらうよ?藍染様?

出来た破面たちは、完璧な人型をしているものなんて殆ど無い。カスさ。
でもそれでいいんだ。
こいつらは、ただ崩玉のデータ収集のために破面化させただけなんだから。

でも、もちろん全部従属官にはしてやるけどね。


僕の従属官は無数。


でも、出来そこないのカス共も集まればそれなりに可愛いもんさ。
それに置いておけば何かに使えるかも知れないしね。


自分の研究したモノに囲まれて過ごすというのは落ち着くものだよ。
質は徐々に上げていけばいい。


研究が進めば、僕の数字はまた変わってくるだろうね。


実力だけは僕の上の十刃を、僕が超える日も近いと思うよ?


その時の奴らの顔は・・最高にソソられそうじゃないか。


・・ゾクゾクするね、出来そこないのカスの・・可愛い僕の子供たち?







なんちゃって。


inserted by FC2 system